孤旅 ＃１１ タイ

メープルちゃん

ホテルは先日泊まったのと同じホテルだが、

値段が１００TB ほど安かったせいか

部屋の作りが若干狭く感じた。

（それでも申し分ない部屋だが・・・。）

イシダに連絡して、夕方７時に件の日本料理屋の前で待ち合わせた。

タイ料理が食べたかったのでパッポン通りにあるタイ料理の店へ。

イシダは最初こそ、

「明日もあるからビールはやめておく。」

などと言っていたのだが、

１杯注いでやるといつもの調子で飲み始めて、

あっという間に４、５杯くらいあけていた。

料理もまずまず満足したところで、

次にタニヤ通りへ繰り出すことになった。

タニヤ通りは有名な歓楽街で、

日本人が通う店が多いことで知られている。

日本でいうところのキャバクラのような店が多く、

そこで働いている女の子のほとんどはバンコクか

その近郊の町から出てきた地方の女の子たちだ。

当然皆タイ人なのだが、

常日頃日本人を相手にしているせいか

それとも普段から日本語の勉強をしているのか

日本語が分かる子が多く、

分からなくてもカラオケで歌う日本語の歌は歌えたりとか

とにかく日本人にとって ‶ 遊びやすい街 ” なのだ。

イシダの馴染みの店まで行ってみる。

店の前で、イシダの顔見知りの

『メープルちゃん』というママがいるか聞いてみると、

出勤しているとのこと。

エレベーターで上まで行くと見慣れた顔の女性が待っていた。

メープルちゃんだ。

ピンクのドレスに身を包み、

少し崩れかけた化粧で若作りはしているが

年でいえば５０に手が届きそうなメープルちゃん。

自分のことを日本語で ‶ カエデちゃん ” と呼んでいる。

そんな彼女がいつもの陽気な笑顔で迎え入れてくれた。

実は私もタイに来るたびにイシダに連れられてくるので、

彼女と会うのはこれが３度目だ。

「イシダぁ～～～～～～～！！久しぶりぃ～～～～！！」

といつもの調子でハグと挨拶を交わしてＬ字型のソファに案内された。

イシダにはメープルちゃんが、

私には『オーイ』という子がついた。

ローマ字で ‶ O ” ‶ I ” ‶ L ” で　『オーイ』　。

意味もそのまま ‶ 油 ” らしい。

最初からトップギアのメープルちゃんに釣られて

イシダの飲むペースも早くなってくる。

4人での会話もはずみ、

オーイはカラオケでキロロの『長い間』を

上手な日本語で歌ってくれた。

１時間を超えた辺りからオーイが太もものあたりを触れたり

腕や指を絡ませてくる。

いわゆるアフターに誘おうとしているのだ。

こちらもビジネスとは分かっていても悪い気はしない。

２時間経ち終了の時間になると、メープルに

「このあとどうするか？！」と凄まれた。

このままオーイと一緒に過ごすか、

それともお開きかと尋ねているのだが、

やはりこの店を取り仕切るメープルだけあって、

こういった時は経営者の顔が垣間見える。

先ほどまでの陽気な『メープルちゃん』とはまるで違う

凄みのある顔だ。

しかし、イシダも私もワイワイ楽しく飲むのが好きで来たので

きっかり２時間で退散することにした。

「イシダぁ、なんで帰るのぉ～～～！！」

と最後まで恨み言を言うメープルを置いて店を出た。

夜道を２人歩いてシーロムまで出たところで

イシダとは別れた。

明日はタイ最後の日で、

イシダとはまた夕飯を食べる約束をした。

部屋に着くとすでに深夜０時を回っていて、

EUROユーロの試合も映らないので、

明日に備えて早目に寝ることにした。

１日の歩数：１１０９４歩（ 8.5ｋｍ）

１日の出費

食費

昼：44TB（サービスエリア：カレーパイ）

夕：700TB（タイ料理）

その他

ホテル：1093TB

交通費：394TB（ミニバン360TB、BTS ）

雑費：1006TB（タニヤのお店 etc ）

合計　約￥10197

￥1＝3.15TB（タイバーツ）＊当時のレート

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