孤旅 #158 モロッコ

モロッコ シディ・イフニ 港 夕暮れ時 一人旅
夕暮れ時の シディ・イフニ港

‶ パートタイム・フレンド ” ( シディ・イフニ 5日目 )

モロッコ
シディ・イフニ
港
高台
高台から見下ろす シディ・イフニ港

昨夜はぐっすり眠れた。

8時頃起き出して

いつものように部屋でダラダラと過ごした後、

10時過ぎに1階に降りて、

カフェで朝食を食べながら 明日以降の行程を考える。

〈 やはり アガディール を経由して、エッサウィラ に向かおうか・・・。〉

次の目的地を アガディール に定めたところで

一旦 部屋に戻った。


お昼過ぎに外出。

ビーチの南の方角に 港のようなものが見えるので、

そこまで歩いて行ってみることにした。

港が見渡せる高台から港全体を眺める。

桟橋の先に海に浮かんでいるもの・・があり、

遠目にはタンカーだと思っていたのだが、

船ではなく 石油の採掘さいくつをする場所か何かのようだ。

近づいて確認したかったが、

モロッコ
シディ・イフニ
水平線
町外れ
町の外れの高台から。町の遠景越しに水平線が見える。 / シディ・イフニ

埠頭の中には入れないようなので、

あきらめて 今度は町の外れの少し高い場所まで

歩いて行ってみた。

町の遠景越しに 水平線が見える。

こうして見ると、海以外 本当に何もない町だと

改めて実感する。


市場に寄って 昨日も買ったドーナツ屋を探すが、

今日は時間帯が違うからか どこにも見当たらなかった。

スークの中の八百屋で柿を3つ買って宿に戻り、

昼食替わりに食べる。

そこからは、ひたすら部屋で『 深夜特急 』を読んだり、

PSP のゲームに興じて過ごした。


夕方5時ごろ、

1階のカフェでお茶でもしようかと降りて行くと、

店主のオヤジが 長々と電話をしている。

とりあえず席に着くが、

一向にオーダーを取りに来ない。

そのうち 隣りに座っているヨーロピアンと話し始めたので、

少し腹が立って 店を出た。

急に対応が悪くなったのは、

今朝 トリップアドバイザーへのコメントを頼まれて

断ったのが原因かもしれない。

仕方なく ビーチ沿いのカフェに場所を移し、

カフェオレを飲みながら夕陽を眺め、

モロッコ
シディ・イフニ
ビーチ
カフェ
夕方 ビーチ沿いのカフェでくつろぐひと時。 / シディ・イフニ

帰りに近くのバーでビールを2本買って

一旦宿へ戻る。

ビールを部屋付きの冷蔵庫に入れると

またすぐに外出。

今度は 市場スーク近くの食堂に向かった。


この店は 一昨日にも来た所で、

今回の滞在中 訪れるのは三度目だ。

陽気なオジさんがオーナーで、

外国人の私にでも いつも親切に接してくれる

印象の良い店だ。

もしかしたら この辺りでは、

東洋人自体が 物珍しいのかもしれない。

今日は、いつものタジン料理でなく

チキンの串焼きを注文。

こちらも 味は申し分なく、

値段もタジンと同じ 35DH( =約385円 )に過ぎない。

オジさんが いつものように フランス語で、

C`est bonセボン ?( 美味しかった?)」

と聞いてくるので、

こちらも いつものように、

C`est bonセボン !( 美味しかったよ!)」

と返す。

いつわららざる感想だ。

それを聞くオジさんの表情は、

いつも とても満足気だ。


部屋に戻ってから、することもないので

香港映画の『 恋する惑星 』を観る。

先日、トドラ峡谷にいる時に、

一緒にイミルシルにドライブで出かけたメンバーの

ユリさん が好きだと言っていた映画だ。

私も Blu-ray のディスクを持ち歩くほど大好きで、

これまでに 何度となく見返している作品だ。

何かのきっかけで好きな映画の話題になった際に

その題名が出てきて以来、

何となく また観たいと思っていたのだが、

なかなか落ち着いて観るタイミングが無かった。

ベランダに Blu-ray のプレイヤーを持ち出し、

少し肌寒かったが ビールを飲みながら鑑賞した。

・・・・・・・・・・・・・・・

ユリさんは あの後、

トドラを発ってから数日後には

当時作った LINE のグループを退会してしまっていた。

確かに、思いのほか 頻繁にメッセージが送られてくるので、

そこまで思い入れの無い グループ LINE を

わずらわしく感じるのは 当然のことだ。

私も どちらかと言うと そのグループでは

蚊帳かやの外といった感じだったので、

いまだに私以外のメンバーでそのチャットが盛り上がっていることに

違和感を感じていたから、

同じような気持ちではある。

・・・・・・・・・・・・・・・

しかし、どこかに一抹いちまつの寂しさはある。

旅先で知り合って仲良くなった人で、

帰国後も変わらず親交を持つ人というのは、

案外 少ないのではないだろうか。

みんな日本に帰れば、

日常という名の 現実の生活がある。

そんな中でも 数年たっても連絡を取り続けるまでの

関係になる人というのは、

私の経験上 ごくわずかだ。

・・・・・・・・・・・・・・・

だが、それでも良いのだと思う。

旅先で周りが見知らぬ人ばかりの状況で、

その時 一瞬だけでも心が通じ、

仲良くなった相手というのは

忘れないものだ。

その後 連絡は取らなくなったとしても、

その時の関係性や相手への感情というものは

本当のものだし、

各個人の記憶の中では鮮明なのだ。

LINE など SNS での希薄な繋がりを維持して、

普段の生活の中で ストレスを感じる必要はない。

スティービー・ワンダー の代表曲、

‶ パートタイム・ラヴァー ” ならぬ、

‶ パートタイム・フレンド ” と言ったところか・・・。

そういう私も、モロッコを出たら

その LINE グループは退会しようかと思っている。

( モロッコにいる間は、まだ メンバーの誰かと

再会する可能性があるので、

そのままにしておくことにする。)


久々に観た 『 恋する惑星 』は、

やはり素敵な作品だった。

若き日の 金城武 や トニーレオン のダメ男っぷりが とにかくカッコ良いし、

ファイナル・ファンタジーのテーマ曲でもお馴染みの

歌姫 フェイ・ウォン の初々ういういしい演技は、

この手の 溌溂はつらつとしたアジア人女性の

モロッコ
シディ・イフニ
ベランダ
『 恋する惑星 』
わざわざ持ってきた Blu-ray プレイヤーで、ベランダにて『 恋する惑星 』を鑑賞。

雛形ひながたとも言えるものだ。

( *今現在、日本で人気の J- pop バンド、

back number の 『 高嶺の花子さん 』の MV に出てくる女性像の元ネタは、

まさに この作品の彼女なのではないかと

個人的に思っている。

MV内での 扇風機の使い方や、

パイナップルの缶詰などの小道具も

それ匂わせるものだ。)

ウォン・カーウァイ 監督の斬新な演出と、

クリストファー・ドイル のスタイリッシュな映像は、

今観ても全く色褪せない。


ラストシーンの台詞セリフそらで言えるくらいに覚えている。

「 どこに行きたい? 」

「 君の行きたいところへ。」


1日の歩数:14383歩( 11.0km )

1日の出費

食費

朝:21DH( トマトオムレツ、ミントティ )

昼:15DH( 柿×3個 )

夕:41DH( チキン串、ミントティ )

その他

ホテル:150DH

雑費:41DH( カフェオレ、ビール×2 )

合計 約¥2948

1DH=¥11 *当時のレート

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