孤旅 #162 モロッコ

モロッコ エッサウィラ 夜の街 一人旅
昼とは違う活気がみなぎる夜のスーク / エッサウィラ

女心は分からない( エッサウィラ 3日目 )

朝8時ごろ 同じ部屋の3人が一斉に起き出す。

3人とも 今日シディ・イフニに出かけるくみで、

出発するための準備をしていたのだが、

特に出かける予定はない私も

ついでに起きてしまうことにした。

ケイジさんが 先に宿を出て、レンタカーを借りに行くとのことで、

タケル君、ユミ子さん( シディ・イフニ組 )、

タキ子さん( 途中にある アロガンオイルで有名な村まで同乗 )

の3人が連れ立って合流地点に向かう中、

私も 荷物運びの手伝い 兼 暇つぶしの一環として

皆に同行することにした。


歩いて10分ほどで、民営バスのターミナルに到着。

ケイジさんのレンタカーがやってくるまで

近くのカフェで待っていろとの指示なので、

皆でお茶をしながら談笑していると、

ケイジさんが車で到着。

皆の荷物を車両後部のトランクに詰めようとするが、

荷物が多いせいか 車の部品の不具合か、

なかなか閉まらない。

悪戦苦闘の末 何とか無事にロックもかかり、

皆が乗り込み 出発するのを見送った後、

私一人で再び宿へと戻った。

ちょっとした 朝の散歩といったところだった。


昼ごろから 宿に残された ティアゴ と私の二人で、

大型スーパー Carrefourカレフール に買い物に出かけた。

昨日と同様 途中のカフェで ケーキを食べて、

到着後は 昨日買えなかった 酒類、ビールとワインを買って、

また40分ほど歩いて 宿へと戻る。

・・・・・・・・・・・・・・

帰り路の道中で、

ティアゴから ちょっとした恋愛相談のような話をされたのだが、

面倒臭くなって 突っぱねてしまった。

突っぱねたと言うか、

適当に聞き流したというのが 正確なところだ。

ティアゴも 20代の女子だから、

恋バナくらいは普通にするのだろうが、

受け身として聞いているこちらの身としては、

堪ったものではない。

それに 旅先で恋愛や失恋などの色恋沙汰があると、

その期間の旅の印象が そのことだけになってしまって

後で思い返すともったいなく感じる。

だから あまり深入りしたくなかった。

少しくらい 親身に聞いてあげれば

余裕ある大人の男性として 私の株も上がるのだろうが、

面倒臭いという感情の方が勝ってしまう。

そんなことを言うのは ひどいと思う人もいるかもしれないが、

別に どう思われても構わない。

私は旅を楽しみに来ているのだ。

出会いを求めに来ている訳ではない。


部屋に戻り、少し休憩してから

夕方ごろ 再び一人で外出する。

・・・・・・・・・・・・・・・

夕飯前のこの時間に 町を徘徊するのが好きだ。

どの町に滞在する時でも、夕方から夜にかけての時間帯に

なるべく出歩くようにしている。

夕暮れ時の街は、昼間とは違う一面を見せる。

人の流れも変わるし、人々の表情も昼間とは違ってくる。

夕飯の買い出しにいそししむ者や、

仕事終わりに 馴染みのカフェで佇む者。

レストランや小さな商店の店員の顔も、

多忙さ故か 幾分か活気を帯びているように見える。

昼間 一度訪れた場所でも、

違った場所のように感じることが多い。

そんな風にして、夕暮れ時の異国の街を

ただブラブラと歩いていると、

日本に生まれ育った今の自分とは違う、

‶ もう一人の自分の人生 ” を想像することが出来るのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・

いつものようにメディナの中の市場スークや 土産物屋を冷かして、

今宵の晩餐用に パンをいくつか買って帰った。

いつもと同様に 屋上のテラスで夕食を取る。

昼間 Carrefuor で買った スモークド・チキン 丸ごと一羽を

同宿の皆( ティアゴ、タキ子さん )とシェアしながら、

白ワインで酒盛りをすることにした。

途中から、昨日のカサブランカの若者二人も加わり、

またいつものように 場が賑やかになる。

私も珍しく陽気になり、

ワインを何杯か飲んでいるうちに

だいぶ酔いも回ってきた。


酒宴も盛り上がってきたところで、

タキ子さんが 昨日の約束通り、

商売道具であるフルートを持参し 演奏してくれた。

さすがにプロだけあって

その腕前は素晴らしく、

我々は皆 そのシャープかつ大胆な演奏に酔いしれた。

( 演奏してくれたのは、『 エリーゼのために 』と、

『 上を向いて歩こう 』の2曲。)

手に職を持つ、一芸に秀でた人というのは素晴らしいし、

人に披露できるような特技をもったタキ子さんが

単純に羨ましかった。


酒の席で ティアゴと少し険悪になった。

私が トドラ峡谷の宿で一緒だった 共通の知り合いを

本人が居ないところでくさしたのが原因だ。

その人物は 私より年齢が少し上の アラフォーのオジさんなのだが、

見た目が爽やかで若々しく、( ぱっと見は 二十代後半から三十代前半くらい )

言動もとても同年代とは思えなかった。

普段から異様にテンションが高く、

それが 旅先での ‶ 非日常な状況 ” からくるものだけなら良いのだが、

どうやら それだけではなさそうなのが、

私にはあまり良い印象ではなかった。

要は、私には彼が〈 キマッている 〉状態にしか見えなかったのだ。

海外に出ると、そういった旅行者を見かけることも

そう珍しい事ではないのだが、

私は なるべく距離を置くようにしていた。

そんな訳で、ティアゴが やたらとその彼を持ち上げるのと、

それを話す時、所々で微妙に乙女おとめを出すのが

何となく気に食わなかったので、

「 あの人、ツッコミどころだらけじゃん!」と言うと、

怒って自分の部屋に帰ってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・

女心は分からないものだ。

モロッコ
エッサウィラ
夜の街
何気ない町裏の路地も夜になると神秘的に映る / エッサウィラ

普段は サバサバしていている印象の ティアゴだが、

こんな時にだけ 乙女を出さないで欲しい。

そんな心境だった。


夜も更け、11時を過ぎたところで部屋に戻ると、

酔いの回りも手伝ってか

あっという間に深い眠りに落ちていった。

ティアゴとのいざこざや、慣れない深酒のせいもあり、

あまり心地の良い眠りとは言えなかった。


1日の歩数:23444歩( 18.0km )

1日の出費

食費

朝:9DH( ケーキ )

昼:3DH( インスタントラーメン )

夕:36.5DH( スモークドチキン、パン )

その他

ホステル:55DH

雑費:80DH( 白ワイン 33DH、ビール×2 )

合計 約¥2019

1DH=¥11 *当時のレート

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