孤旅 #169 モロッコ

モロッコ マラケシュ 猫カフェ 一人旅
猫のいない 猫カフェでひと休み / マラケシュ

友人の見送り と ‶ 施し ” について( マラケシュ6日目 )

モロッコ
マラケシュ
フナ広場
屋台
夜のフナ広場 ( スナップ )/ マラケシュ

8時ごろ起床。

特に何をするでもなく過ごしていると、

10時過ぎに ユミ子さんが部屋を訪ねてきた。

今日 郵便局に行ってみたが、

やはり 土、日は休みで荷物は送れなかったとのことで、

昨日の約束通り、

彼女の荷物を 私が預かることになった。

その為、郵便局が開く月曜日までは

この町に滞在することが確定となったが、

それほど急ぐ旅でもなし、

ここは 時間に余裕のある私が

一肌脱ぐことにしよう。

( と言うほど 大層なことでもないが・・・。)


ユミ子さんから、郵送する際の細々こまごまとした注意点を聞いて、

荷物と送料分のお金を預かった。

モロッコから日本への国際郵便は

そこそこ するらしく、

念の為と言って 1400DHディルハム ( =約15400円 )を

渡された。

物価の安いモロッコでは 結構な額だ。

これだけのお金を、同じ日本人と言うだけで、

出会って数日しか経っていない よく知らないオジサンに

預けてしまって大丈夫か? と心配になるが、

それだけ 私を信用してくれたということだろう。

一応 LINEライン で連絡を取れるようにして、

何かあった時は 報告することにした。


ユミ子さんは

これからカサブランカに向かうとのことなので、

見送りがてら、タクシー乗り場まで

荷物を持ってあげることにした。

路地から出て 少し広い通りを

100m ほど離れた場所まで移動する。

この通りは 歩行者天国になっており、

どこの国の者とも分からない 物乞いをする人たちが

常に 一方の道端みちばたに列をなして座り、

観光客からのほどこしを受けたり、

ティッシュペーパーなど

細々こまごまとした日用品を売って 日銭を稼ぐ場所になっていた。


歩いている途中、 ふと ユミ子さんが、

「 いつも路上で ティッシュを売っている男の子に

チョコレートをあげたい。」

と言ってきた。

いつも 宿の近くの路地で

私が 2DHディルハム( =約22円 )で ティッシュを買っている、

顔なじみの子だろう。

しかし、その男の子がいるのは 夕方から夜の時間帯が多く、

まだ 時間が早いためか

その姿は見当たらなかった。

用意してきたチョコレートを持て余した彼女は、

次に 近くの路上に座っていた

小さな子供を抱きかかえている女性に、

代わりにそれを渡そうとしながら、

私に こう聞いてきた。

「 お金じゃなくて、チョコレートをあげるのは

失礼ですかね?」

私は その問いに、

思ったまま 素直な気持ちで答えた。

「 いや、全然 大丈夫だと思う!!

あげないよりは あげた方が

絶対喜ぶよ!」


何気ない会話だが、

彼女の優しさを垣間見たような気がした。

思えば 彼女は、歯科衛生士として、

世界各国で 正しい歯磨き習慣の大切さを

ボランティアで教えて周っていると言っていた。

元から 社会貢献の意識が高い女性なのだ。


以前の アジアを巡る旅から

実践していることがある。

いわゆる物乞いをする人たち( ホームレス )に お金や物をあげる際の

ルールをもうけるということだ。

まず、子連れの母親であるということ。

あげるのは その国の最小のコインかお札、

物であれば パンやチョコレートなど、

自分のふところが痛まない程度であること。

そして、あげるのは 1日1回までに限るということ。

以上の3点だ。


何だかんだ言って、皆自分の金は惜しい。

われるがままに施しをしていては、

こちらが先に破産してしまう。

一方で、こういった意見もある。

「 自分一人が いくらお金を落としたところで、

その国が変わらなければ 意味がない。

だから、自分が施しをしても 根本的な解決にはならない。」

「 先進国から遊びに来た自分が

現地の人に恵んでやる・・・・・などというのは

思い上がった行為で、

相手をバカにしているのも一緒だ。」

「 貧しい国では、‶ 物乞いビジネス ” が存在する。

より悲惨な姿の方が 多く施しを受けられる。

何なら わざと子供を痩せ細らせたりする

親もいるそうだ。

だから、ひもじく悲惨な姿をしていても

それをそのまま に受けてはいけない。」

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確かに、そういった考え方も分かる。

だが、実際に 目の前の子供が死にかけていても

そんなことを言っていられるのか・・・?

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これは、長期の海外旅行者にとっては避けられない、

永遠の課題とも言える。


様々な国を旅していると、

嫌でも そういう立場の人というのは

目に入ってくるものだ。

そういった場面で、自分はどう振る舞えば良いのか?

バックパッカーのような

いわゆる 貧乏旅行をしている人の中には、

意地になって €1だって、¥1だってあげないという人も多くいる。

それはそれで構わないが、

私は そんな旅の仕方で1日、2日長く旅をするくらいなら、

少しくらい 現地の恵まれない人たちに

還元しても良いのではないか と思っている。


1日に1DHディルハム や2DH、

ヨーロッパなら €1や €2 を 困っている人に施してあげたところで、

何の痛手があるのだろうか・・・。

例え 半年旅したところで、

せいぜい 1~2万円程度に過ぎないだろう。

ましてや、このモロッコなら、

1日に 10円、20円 の世界だ。

私がパンを1個我慢することで、

目の前の子供が 1日生き永らえるかもしれない。

たまたま 生まれたのが

日本か モロッコかの違いだけなのだ。


普段から節約をして旅していると

気付きにくいことだが、

いくら 私のようなバックパッカーが 自らを ‶ 貧乏 ” とは言っても、

路上で物乞いをしながら暮らす人々や、

( 日本より貧しい国であれば、)何なら一般の人からしてみても

モロッコ
マラケシュ
スーク
土産物屋が立ち並ぶ マラケシュ の市場( スーク )

私たちは 大金持ちに違いないのだ。

自分の好きなように海外を旅行している時点で

よっぽど 恵まれていると言える。

だから、‶ 貧乏 ” や、‶ さげすんでいる ” は

言い訳にならない。

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この時の ユミ子さんの姿を見て、

そんなことを思ってしまった。

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