
大小 で勝負!

「私なりの攻略法がある!」とは言ったものの、
これは私が考え付いた方法ではない。
沢木耕太郎著の『深夜特急』マカオ編にて、
作中の ‶私″が編み出した方法を
受け売りで実践しているだけだ。
しかし、これが意外なほど勝率が良い。
簡単に言うと、
ここぞというタイミングでゾロ目に賭けて
大勝ちするというやり方だ。
大小 は一見すると当たる確率は2分の1のように思えるが、
実際の確率はそれよりも若干低くなる。
ゾロ目の存在があるからだ。
3つのサイコロを振って出るゾロ目は、
①①①、②②②、③③③、④④④、⑤⑤⑤、⑥⑥⑥ の
6通り。
出目の種類は 6×6×6=216通りだから、
確率は 6/216、
つまり 36回勝負すれば、
1回は当たる計算だ。
配当額は24倍だから、
ゾロ目に賭けるのは客側にとっては不利とも言えるが、
得てしてギャンブルには
流れというものがある。
その流れをつかんで ゾロ目に賭けることが出来れば、
通常の配当金(1/2)でちまちま張っていたのでは
なかなか辿り着けない金額を
一気に稼ぐことが出来るのだ。
二つの 大小 の卓の過去の出目をモニターで確認しながら、
勝負の時を見極める。
ゾロ目が出るタイミングを見極めるとは言っても、
良いタイミングはそうそう来るものではない。
まずは賭場の流れを掴もうと、
普通に大小の二択に賭けながら様子を見る。
片方の卓で、小、小、小 の後、
大、大と ‶大″が2回続いていた。
流れ的に次は ‶大″が出そうなのだが、
あえて(?)裏をかいて ‶小″に$200をBet。
(何が ‶あえて″なのかは本人にも謎だが、
そういった勘のようなものも
時には必要なのだ。)
しかし、これを見事に外してしまう。
この卓は、これで ‶大″が3回続いた訳だ。
この流れに乗って
今度は ‶大″に張ると、
これは当たって
$200 がそのまま返ってきた。
これで振り出しに戻った訳だ。
しかし、一回勝負するのに
$200(=約3700円)が懐から出たり入ったりするのだから、
無造作に賭けていたのでは
あっという間に破産してしまうことになる。
一旦気持ちを落ち着けて、
以降は少し慎重に張ることにした。
しばらくは ‶見″を続けて
良きタイミングを計る。
その間 フリードリンクを飲んだり、
給仕が配っているケーキを食べながら
その時を待つ。
一度、大小の二択勝負で外してしまい、($200)
残りは$100チップが3枚。($300)
ふと、右側の卓に
しばらくゾロ目が出ていないことに気付いた。
モニターを見る限り、
この十数回 ゾロ目が出た形跡はない。
左側の卓では2度ほどゾロ目が出ているのに、
こうも出ていないのは不自然だ。
・・・・・・・・・・・・・・・
確率的に言えば、
そろそろゾロ目が出てもおかしくない頃合いだろう。
そう思い、大、大、小、小、大、大、と続いたところを、
ゾロ目に$100をBet。
しかし、これは ただの ‶小″が出て外れ。
流れからすれば、次は ‶小″が出そうだが、
あえてここは もう一度ゾロ目に$100。
しかし今度の目は ‶大″。
またもや外れてしまった上に、
出目の流れも途切れてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・
これで残るチップは1枚のみ($100)
ここで少し冷静になっても良かったのだが、
負けが込んだせいで小さな焦りが出てしまった。
〈ここで一度 ‶見″をしてゾロ目が出たら、
自分は後で後悔するだろう!
ここは行くしかない!〉
そう頭によぎった次の瞬間、
最後の$100チップをゾロ目にBetしていた。
しかし・・・
残念ながら、出た目はゾロ目ではなく

ただの ‶大″。
・・・・・・・・・・・・・・・
完敗だった。
これで、軍資金である$500(約9250円)は
すべて使い切ってしまった。
時間にして わずか1時間程度。
あっという間の出来事だ。
カジノに来たのはかなり久し振りだったが、
その恐ろしさを改めて実感した。

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