FIFAワールドカップ 思い出のBest Bout ④

FIFAワールドカップ サッカー
数々の名勝負を生んできたFIFAワールドカップ

私的 ベスト・バウトをご紹介

これまで数多の名勝負が繰り広げられてきた FIFAワールドカップ。

第1回のウルグアイ大会から始まって、

今回のカタール大会は22回目を数えるが、

その中から 私が個人的に記憶に残っている試合『 ベスト5 』を、

振り返っていきたいと思う。

④ 2006年 ドイツ大会 ブラジル × フランス ( Quarter Final )

【1】カルテット・マジコ ( 魔法の4人 )

2002年、日韓ワールドカップにて通算5度目の優勝を果たしたブラジル代表。

怪物ロナウドは劇的な復活を遂げ得点王となり、

10番のリバウド、若きテクニシャン ロナウジーニョ と共に、

『 3R 』 を形成し ブラジルの攻撃を彩った。

あれから4年が経ち、世界王者として挑むドイツ大会では、

リバウド は代表を去ったものの、

すでにイタリアのACミランで目覚ましい活躍をしていた ‶ 貴公子 ” カカ、

同じく、イタリアのインテルで強烈な左足を武器に

得点を量産していた ‶ 皇帝 ” アドリアーノ が加わり、

その豪華な顔ぶれから、ロナウド、ロナウジーニョ と共に

『 カルテット・マジコ ( 魔法の4人 ) 』と呼ばれた。

中でも 前年バロンドールを受賞し、

大会直前に、所属する FCバルセロナ で UEFAチャンピオンズリーグを獲得したばかりの

ロナウジーニョ への期待は大きく、

一部メディアでは、今大会は、

‶ ロナウジーニョ の大会 ” になるのではないかとも言われていた。

グループリーグを3戦全勝で通過し、

評判通りの強さを見せるブラジル。

しかし、主役を演じるはずの ロナウジーニョ の出来は今一つだった。

カカ、ロナウド、アドリアーノ にゴールが生まれる中、

ロナウジーニョ だけが無得点。

数字だけではなく、

プレー内容も南米予選や バルセロナで見せてきたプレーとは程遠く、

世界中のファンを落胆させるものだった。

とにかく、実力は申し分ない。

あとは、彼が普段通り楽しそうに笑顔でプレーをして、

ブラジルを勝利に導くことが出来れば、

それはブラジルが優勝に近付くということを意味する。

決勝トーナメントでの彼の復調こそが、

ブラジル連覇の鍵を握っていると言って良かった。


【2】低調なフランス

一方のフランスは前回の日韓大会、

大黒柱 ジダン の怪我の影響もあり1勝も出来ず予選リーグ敗退。

2年後の EURO でも、良いところなくベスト8でギリシャに敗れ、

早急な若返りを求められていた。

EURO後 ジダン は代表引退を発表。

後進に道を譲り世代交代を促すためだったが、

ドイツ大会のヨーロッパ予選で

フランスは予想以上の苦戦を強いられた。

敗退危機の中、

ドメネク代表監督やチームキャプテンの P・ヴィエラ の説得もあり、

ジダン は予選終盤に復帰を果たすと、

キャプテンとして見事チームをまとめ

フランスを本大会出場に導いた。

しかし、F・リべリー など若手の台頭もあったが、

チームのベースはあくまで98年~00年の

W杯、EUROを制したベテラン組であり、

とりあえず目の前の目標のために世代交代には一時的に目をつぶるという、

消極的なメンバー構成だった。

そのツケが回ったのか、

本大会に入っても調子の上がらないフランスは、

グループリーグを1勝2分けの2位通過。

格下のトーゴにこそ勝利したものの、

スイス、韓国には引き分けるのがやっとで、

その内容も散々だった。

ダイナミックなチームとしての動きは影を潜め、

個々がバラバラに動いている印象。

ジダン も全盛期の動きには程遠く、

今大会を最後に現役引退と聞いて、

思わず納得してしまうような内容だった。


【3】スペイン戦での復活

ブラジルは決勝トーナメント初戦、

アフリカの強豪ガーナと対戦し、

3-0と貫禄の勝利を納めた。

前半5分に FWロナウド が先制後は、

要所を抑えた省エネサッカーで、

順調に追加点を重ね、

ガーナに付け入る隙を与えなかった。


一方、フランスはスペインとの対戦。

ここにきてフランスがようやく調子を上げてくる。

グループリーグから気を吐いていた若手のMFリベリーと、

ジダン 他ベテラン組の息が徐々に合い始め、

チームに躍動感が戻ってくる。

特に ジダン の充実ぶりは目を見張るもので、

ドリブルでのキープや、機を見てのライン裏へのパスで

チャンスを作っていく。

そうなると、周りの選手の動き出しも良くなり、

MFヴィエラ や MFリベリー、MFマルダ などが、

どんどん ジダン を追い越していくことで

攻撃が活性化されていく。

ジダンが復調することで、

フランスのチーム自体が蘇ったかのようだった。

特に圧巻だったのが、フランスが2-1のリードで迎えたロスタイム。

左サイドを抜け出した ジダン は、

対峙するバルセロナの 闘将DFプジョル をかわし、

右足で豪快なシュートを突き刺した。

不調に喘いでいたグループリーグが嘘のような、

目の覚めるような一撃だった。

3-1としたフランスはスペインを破って、

準々決勝進出を決めた。

フランスにとっては 勝ったことももちろんだが、

ジダン の復調が何よりの収穫だった。

一方のブラジルも順調な仕上がりではあったが、

唯一 ロナウジーニョ の出来だけが懸念材料だった。

(*ロナウジーニョ はいまだ無得点。)

しかし、調子が上向きな状態での優勝候補同士の対戦は、

好ゲームが予想された。

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