FIFAワールドカップ 思い出のBest Bout ②

FIFAワールドカップ サッカー
数々の名勝負を生んできたFIFAワールドカップ

私的 ベスト・バウトをご紹介

これまで数多の名勝負が繰り広げられてきた FIFAワールドカップ。

第1回のウルグアイ大会から始まって、

今回のカタール大会は22回目を数えるが、

その中から 私が個人的に記憶に残っている試合『 ベスト5 』を、

振り返っていきたいと思う。

② 1994年 アメリカ大会 ブルガリア × ドイツ ( Quarter Final )

【1】前回王者とダークホース

前回イタリアの地で3度目の世界王者の座に就いたドイツ。( 西ドイツ時代を含む )

2年後の92年 EUROでは

決勝でデンマークに敗れはしたが、

2つの主要国際大会でファイナルまで進んだことから、

今大会も 優勝候補の一角と目されていた。

90年ワールドカップ以降、

FWリードレ、MFザマー、MFエッフェンベルク など、

新しいタレントも台頭してきており、

なかでも MFへスラー は

期待の若手からチームの中心選手へと変貌を遂げ、

92年 EUROでは2本のフリーキックを決めるなど、

抜群の存在感を示していた。


私はこの へスラー という選手が大好きだった。

「 小さな巨人 」と言われるように、

166cmと小柄ながらも豊富な運動量と正確なクロス、

切れのあるドリブル、

そしてワールドクラスのフリーキックなど、

大柄な選手が多いドイツ代表の中で、

ひと際小さな体躯を駆使して奮闘する姿が

とても印象的だった。

いわゆる天才肌の選手ではないが、

小さくてテクニックに優れるという点では

どこか マラドーナ と共通するところがあった。

また、堅実で単調になりがちなドイツの攻撃陣において、

小回りの利く彼のプレーは ちょっとしたアクセントになっていて、

同じ攻撃的MFの メラー と共に

ドイツの攻撃の中核を担っていた。

94年アメリカ大会では いまいち調子の上がらない メラー を尻目に、

主にサイドを主戦場としながらチャンスを演出し続け、

特にエース FWクリンスマン とのホットラインは

ドイツの攻撃 最大のストロングポイントとなっていた。


対するブルガリアも、

スペインの FCバルセロナ で活躍する

FWストイチコフを筆頭に、

MFにバラコフ、レチコフ、DFイワノフなど、

各ポジションにタレントを揃え、

大会のダークホースとして注目を集めていた。

両チームの実力は拮抗していたが、

それでも下馬評では前回王者のドイツが

圧倒的に有利と言われていた。


前半からそれぞれのチームが持ち味を発揮する展開となる。

ドイツが右サイド MFへスラー のクロスから

FWクリンスマン がダイビングヘッドを放てば、

ブルガリアも右サイドに流れた FWストイチコフ の折り返しを

MFバラコフ が狙う。

どちらもゴールキーパーとゴールポストに防がれたが、

点が決まっていてもおかしくない場面だった。

ブルガリアは MFバラコフ を中心に

MFレチコフ らと連携しながら

小気味良くゲームを作っていく。

エースの FWストイチコフ もチャンスメイクに徹しながらも

得点の機会をうかがっていた。

序盤ドイツの攻撃は単発的だったが、

徐々に へスラー が左サイド深くのスペースに侵入し、

チャンスを作り始める。

カットインからのミドルシュートはキーパーに阻まれるも、

MFメラー の決定機をお膳立てするなど

持ち味の運動量と思い切りの良いプレーで

次々にチャンスを作り出していく。

一進一退を繰り返し、

両チーム 前半を0-0のスコアで終えた。

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