タリファ城
港の目の前にある タリファ城に足を向けてみる。
遠くからでも目立つこのお城は、
この小さな港町の 人気の観光スポットらしい。
城内でどこか座るところを見つけて、
飯でも食べながら出発を待つことにした。
入口の門をくぐると
こじんまりとした受付の小屋があった。
入場料は €4。
しばらく € も使わないだろうし、
コインも余っていたので、
とりあえず入ってみることにする。
ただ、けっこうな大荷物なので移動が大変そうだと思い、
何とはなしに受付のおばさんに、
「 中に階段は多いか? 」
と聞いてみた。
すると、そのおばさんが気を利かせて、
何やら無線でやり取りをし始めた。
どうやら その受付の小屋で、
荷物を預かれるように許可を取ってくれたようだ。
スペインを離れる前に、
スペイン人のおおらかな優しさに触れられたような気がして
何だか嬉しくなった。
バルセロナやマドリードのような大都市では、
こうは行かないだろう。
城内は 30~40分ほどあれば見て回れるほどの広さだったが、
城壁に上った時の景色は素晴らしかった。
これで500円程度なら 全然悪くない。
高いところから見下ろすと、
町自体も 南国っぽく白色に統一されていて、
とても気持ちの良いところだ。
時間さえあれば、ここでもう1泊して
街中を歩いて回ってみたい気もする。
そう思わせる町だった。
pm2:30 近くになり 船着き場へ向かう。
パスポートチェックと荷物検査を終え、( ボディーチェックは無かった。)
颯爽と船に乗り込むと、
船内にあるレストランの後方にあるブースで
すでにモロッコ入国の審査が始まっていた。
スペインのタリファから モロッコのタンジェまでは、
船で1時間半ほどの距離だが、
モロッコの入国手続きは、
上陸後ではなく 船上にて行われる。
事前にネットで調べて知っていたため、
迷うことなく私も列に加わることにした。
割と早目に並べたので、列の前の方で順番を待っていると、
横からじっと様子を窺っている若い男がいるのに気付いた。
男は おそらく地元のモロッコ人かその近辺の北アフリカ系で、
少し野暮ったい感じの身なりをしている 。
列はすでに後方まで伸びていて、
並ぶなら 一番後ろからになるはずだが、
どうやら さり気無く横入りしようと
チャンスを窺っているようだった。
皆がちゃんと並んでいるのに
こういった輩が不正を行うのは腹立たしいので、
「 何で割って入ろうとしているんだ!?ちゃんと並べよ!」
と 英語で注意してやった。
すると、男は さも英語が分からないといった風で、
「 は!?」というような顔でとぼけてみせた。
絶対に言葉を理解出来ているはずなのだが
こちらもそれ以上言うのは面倒なので、
とりあえず 私の前後には入らせまいと牽制しつつ、
分からないはずの英語で、「 ふざけるな!」などと、
わざと男に聞こえるように言ってみたりした。
しかし、結局男は、
私の数メートル後ろにいる白人の夫婦が余所見をしている隙に、
スルッと列に並んでしまった。
私はそれも腹立たしかった。
こういった場面で、
ヨーロッパの人達が不正をした者を注意したのを
あまり見かけたことが無い。
まぁ仕方ないと諦めているのか、
それとも 関わらない方が良いと判断してなのか分からないが、
けっこう寛容なのだ。
日本と違い 海外の場合、
相手が厄介な輩だと、ナイフや銃などを持っていないとも限らないから
下手に関わるのは危険なのかもしれないが、
注意すべきところは すべきだと思うのだ。
私の場合、そこは日本人!
平和ボケのせいか 逆に変なところで度胸がついているので、
とりあえずの勢いだけで注意は出来るのだが、
今回は 私が当事者とも言えないので、
放っておくことにした。
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