2016 11月6日 (日) Sidi Ifni
預金残高 と マラドーナ( シディ・イフニ 3日目 )
朝起きて しばらく部屋で過ごした後、
10時過ぎに 1階のカフェで朝食を取る。
日課となったオムレツを食べながら
ネット経由で銀行口座の残額を調べてみると、
予想していた額との大きな開きに愕然とした。
残高が 40数万円 しかない。
落ち着いて考えると キャッシュで持っている分も含めれば、
50万円弱 くらいはあるのだが、
それでも 口座残高が 40万円 を切ろうとしていることに
衝撃を受けてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・
人は40万円で、何が出来るだろうか?
・・・・・・・・・・・・・・・
結構なことが出来る気もするし、
大したことのない金額にも思える。
物価の安いインドなら、1年くらいは暮らせそうな気がする。
( *あくまで 2016年当時の感覚での話。)
しかし、これがヨーロッパなら、
せいぜい 一月か二月で
あっという間に雲散霧消してしまうだろう。
そうでなくても、
これから大西洋を渡って 南米を訪れた後、
更に太平洋を渡り日本に帰ろうとしている人間にとっては、
極めて少額に思えてくる。
だが、こうなったら
出たとこ勝負というのもある。
全ての国は回れなくても 行けるところまで行って、
例え どこかで資金が底を突いたとしても、
日本に無事帰れれば それで十分な気もする。
もう こういった旅も、
今回で最後になるだろう。
例えば 親や友人に無心をするなど、
多少 周りに迷惑をかけたとしても・・・、
いや、なるべく迷惑をかけずに済ませられるように、
節約に努めよう。
食事を終え、部屋に戻って洗濯を済ませ、
3時過ぎにビーチに泳ぎに出かけた。
海で泳ぐのは いつ以来か?
今回の旅では、
ホアヒン( タイ )、ヴィゼルバ( イタリア ) といった
海沿いのリゾート地に訪れたが、
最後に泳いだのはクロアチア の ドゥブロブニク 以来、
3カ月ぶりくらいか。
イフニのビーチは 波が高く、
沖へ向かうには 少なからず勇気がいる。
インドの プリー というところで泳いだ際には、
あまりに引き潮の流れが速くて
危うく溺れかけたことがある。
波は怖いものだ。
それでも、やってくる高波に身体を委ねた時の、
何とも言えない 無重力状態に似た感覚は、
他では得難いものだ。
あまりに波の勢いが強くて、
砂利石だらけの砂浜に しこたま腰を打ち付けられ、
お尻を擦りむいたりもしたが、
久々の波打ち際での遊びは、とても楽しかった。
切りのいいところで 海から上がって、
町へと繰り出した。
夕陽は暮れかけて、
水平線に日が沈むまで 海沿いにいても良かったが、
夕暮れ時の街並みも 見てみたいと思い直し、
気の向くままに 街を散策する。
日が暮れて暗くなるまでのひと時を、
お茶でも飲んで過ごそうと 皆が集まるためか、
どこの食堂も とても賑わっていた。
一昨日 夕食を取った店の前で、
オーナーのオジさんに声を掛けられたので、
一昨日と同じ席に案内してもらい、
やはり、一昨日と同じ チキンのタジン鍋を注文。
出された料理は、今日も変わらぬ美味しさだった。
食堂にあるテレビで、
アフリカ選抜 対 往年の世界選抜 といった感じの
サッカーの チャリティマッチを放送していた。
ライブか 録画かは分からないが、
食堂内の皆が 楽しそうに観戦している。
何と、あのスーパースター、
ディエゴ・マラドーナ と、
その相棒の クラウディオ・カニージャ ( カニーヒァ )が、
世界選抜で 共に出場していた。
マラドーナは、現役時代の 筋骨隆々 な体型は見る影もなく、
だいぶ肥えていて、
歩くのもやっとといったコンディションだった。
それでも、時々ボールが回ってくると、
往年のプレーを彷彿させるボールタッチを見せる。
不思議なもので、
サッカー選手のプレースタイルというか、
フォルムや動作というのは 独特で、
ボールの持ち方やタッチの柔らかさ、
あるいは 腕の振り方やストライドの大きさ、
ドリブルする時の背中や腕の角度など、
小さな画面でも 何となく 〈 あの選手だ! 〉と
分かってしまうものだ。
特にスターとなれば 猶更その特徴は顕著で、
言ってみれば 一人一人違う
指紋のようなものとも言える。
だいぶ太ってしまってはいたが、
こういった不定期で開催されるチャリティ・マッチで、
マラドーナでしかないボールタッチを 今でも見られるというのは、
サッカー好きにとっては 本当に有難い事だ。
スピードも運動量も ほぼ皆無の マラドーナ ではあったが、
途中出場の カニージャ にスルーパスを通し、
それが得点に繋がったプレーがあった。
カニージャも 引退してだいぶ経つはずだが、
彼 御自慢のスピード感あふれるプレーの一端が
垣間見えた場面だった。
私が初めて本格的にテレビで見たワールドカップが、
1990年のイタリア大会で、
その時のアルゼンチン代表での二人のコンビ・プレーに
夢中になった記憶が蘇ってくる。
二人とも、私の青春時代の
アイドルだった選手だ。
まさか、こんな北アフリカの辺ぴな食堂で、
再び彼らのプレーを、
テレビ放映とは言え 見られるとは思わなかった。
今日は この食堂に来て正解だった。
その後、飲み物を買って宿へ帰り、
部屋で 最近ハマっている PSP のゲーム、
『 勇者のくせに なまいきだ 』をやって過ごした。
泳ぎに行って 体を動かした疲れからか、
プレイしているうちに
いつの間にか微睡んでいた。
1日の歩数:5838歩( 4.4km )
1日の出費
食費
朝:20DH( オムレツ、ミントティ )
夕:41DH( チキンタジン )
その他
ホテル:150DH
雑費:17.5DH
合計 約¥2399
1DH=¥10.5 *当時のレート
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