孤旅 #183 ポルトガル

ポルトガル サグレス サグレス要塞 サグレス岬 夕陽 一人旅
サグレス岬( サグレス要塞 )から見る夕陽 / サグレス

サグレス岬 の 夕陽

ポルトガル
サグレス
サン・ヴィセンテ岬
一本道
サン・ヴィセンテ岬からサグレス市街への一本道

サン・ヴィセンテ岬からの帰り道。

徐々に天気は回復し始め、

15分もすると 空にも晴れ間が見え出し、

視界も一気に開けてきた。

さっきまで 世界の全てがグレーに染まっていたのだが、

海の青と、太陽の活気のある色が

景色全体をおおい始めた。

・・・・・・・・・・・・・・・

〈 旅の神様は 本当にいるのかもしれない。〉

・・・・・・・・・・・・・・・

この分なら、もしかしたら

沢木耕太郎がこの地で見たであろう

大西洋に沈む 美しい夕陽も

この目で見られるのではないだろうか・・・?

それには 日が暮れるその瞬間に、

夕陽が見える 絶好の場所ポイントに居なければならない。

写真を撮る手段が スマホしかないのだが、

だいぶ使い込んでいるせいか

すでに充電が切れかけている。

しかも、雨の中で操作したからか、

頻繁に誤作動も起きている。

せっかくなら 大西洋に沈む夕陽を、

目蓋まぶただけではなく、

スマホでも良いから写真に収めたい。

一旦 部屋に戻って スマホを充電し、

休憩を挟む必要がある。

再び 一本道を宿へと急いだ。


ポルトガル
サグレス要塞
サグレス要塞
サグレス岬
航海学校
サグレス要塞( 旧航海学校 )内側から / サグレス要塞

何とか 午後の4時前に部屋に戻った。

カッパを干し、スマホを充電する。

30分ほどの小休止ののち、再び外出。

次に向かうは、宿の近くにある

サグレス要塞だ。

昨日も歩いた 要塞へと続く真っすぐな道を、

急いで進む。

先程まで見えていたはずの太陽は、

今は ぶ厚い雲の後ろに隠れてしまっていた。

〈 これは 今回、夕陽を見るのは難しいかもしれないな・・・。〉

一瞬あきらめかけたが、

空の片隅に 少し明るくなっている部分もあるので、

一縷いちるの望みを抱きながら

入り口で入場料の ユーロ3 を支払って要塞の内部へ。

中は だだっ広い敷地が

岬の先端の方まで続いている。

その昔、航海学校として使われていた土地だ。

ポルトガル
サグレス要塞
サグレス
サグレス岬
礼拝堂
敷地内にある礼拝堂。今回 じっくり観ている余裕はなかった / サグレス要塞

その広い空間に、礼拝堂や灯台が

ポツリポツリと点在している。

私は それらの建物を尻目に、

海の見える奥の展望所の方へ急いだ。

この時間、閉演間際だからか、

他に観光客の姿はなかった。

西の空に 雲の切れ目があって、

その隙間すきまから 日の光がれてくるのが分かる。

岬の先端にある展望所に着くのと ほぼ同時に、

雲の間から太陽が姿を現した。

それは 本当に見事な夕陽だった。

私は 誰もいない展望所から

海に向かって大声で叫んだ。

「 ついに サグレスに来たぞ~~~~~~~!!!!!!!! 」

・・・・・・・・・・・・・・・

と、後方から

欧米人のカップルが一組歩いてきた。

ポルトガル
サグレス岬
サグレス
サグレス要塞
展望所
要塞の最奥部にある展望所。海の先に見えるのは サン・ヴィセンテ岬。

私の他にも 来場者がいたのだ。

私の渾身こんしんの叫び声が聞こえていたのでは?という

恥ずかしさと同時に、

せっかくの自分一人だけの空間を邪魔されたような気持ちで、

私は 逃れるように 展望所のさくの先の

突き出した岩肌の上に移動し、

適当な岩の一つに座ると、

今にも沈もうとしている

鮮やかに赤く染まった太陽の姿を眺めた。

来る道すがら イヤホンで聞いていた

井上陽水の『 積み荷のない船 』( *ドラマ版『 深夜特急 』の主題歌 )が、

否が応でも 気分を盛り上げる。

右手の海の先には、

さっき訪れた サン・ヴィセンテ岬 が

オレンジ色の光を浴び、

何とも例えようのない風景を演出している。

一瞬、私も、

沢木耕太郎を模倣マネして、

「 ここで旅を終えても 良いかな・・・。」

などと口走ってしまいそうになる。

もちろん そんなつもりはないのだが、

この夕陽こそが この旅のハイライトの一つであることに

間違いはないだろう。

例え これから訪れる リスボンや南米の国々が

おまけであったとしても、

後悔はないような気すらしてくる。

そう思えるほどの

ポルトガル
サグレス
サグレス岬
夕陽
大西洋に沈む美しい夕陽。この旅のハイライトの一つだ。

圧倒的な夕陽だった。

そして、自分も、

沢木耕太郎の足跡そくせきを追い求め、

本当に 果ての果てまで辿り着いたのだと

実感した。


部屋に戻って、

買い置いていた TUC ( クラッカー )にサラミ、サグレス・ビール で

この地に辿り着いた記念すべき日を祝して、

一人で乾杯をした。

晩餐のお供に、

日本から持ってきた DVD と小型プレイヤーを引っ張り出し、

ドラマ版の『 深夜特急 第三便 』の上映会を開く。

作中に マルセイユ や セヴィリア など、

今回の旅で訪れた場所が出てきたのも良かったのだが、

大沢たかおが サグレスに着いてから

海沿いの道を歩くシーンがあって、

それが 先程まで自分も歩いていた

サン・ヴィセンテ岬へ続く一本道だというのが確認出来て、

より一層嬉しかった。

実は、サン・ヴィセンテ岬 までは バスが出ていて、

それに乗って移動することも出来たらしいのだが、

幸か不幸か 私はそのことに思い至らず、

当たり前のように徒歩での移動を選んだ。

道理どうりで雨の中、 ひとっ子一人 歩いていなかった訳だ。)

台風のような天候の中、

無理をしてでも 歩いた甲斐かいがあったというものだ。

ポルトガル
サグレス
サグレス要塞
灯台
夕陽を受けるサグレス要塞の灯台 / サグレス

これで このサグレスに

思い残すことは無くなった。

明日は 早目にここを出て、

ヨーロッパ最後の訪問地、リスボン へ向かうとしよう。


1日の歩数:17463歩( 13.4km )

1日の出費

食費

なし( 買い置き分で賄う。

昼:パン、クロワッサン

夕:TUC、サラミ、インスタント・ヌードル )

その他

ホテル:€32

入場:€3( サグレス要塞 )

お土産代:€5.3( ティー・スプーン、バッチ )

雑費:€1.5( カプチーノ €1、有料トイレ €1 )

合計 約¥5100

ユーロ1=¥122 *当時のレート

動画 モロッコ編②
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