
2025 4月15日 (火) Hong Kong
重慶大厦 と スターフェリー (2日目)Part①

/ ネイザンロード
昨夜は、深夜2時近くになって
やっと床に就いたのだが、
興奮しているせいか、
自然と6時前に目が覚めてしまった。
相変わらず頭が痛い。
目の奥の方が ズキズキする感覚。
昨日のフライト以降 ずっとだ。
最初は 気圧の変化によるものかと思っていたが、
こうなってくると
単に睡眠が不足しているだけなのかもしれない。
せっかくなら もう少しゆっくり寝ていれば良さそうなものだが、
そうも言っていられない。
せっかくの海外だ。
楽しまなければ勿体ない。
早朝に起きて 何をしていたかと言うと、
携帯の eSIM の契約手続きをするのに
手を焼いていたのだ。
今までの私であれば、
ホテルのフロントやツーリスト・インフォメーションで
現地の地図を貰うか、
カフェ等の無料の Wi-Fi を借りて
必要な情報を収集していたのだが、
今やネット全盛の時代。
以前であれば、スマホ内臓のSIMカードを交換することで、
海外でも 格安での通話や
データ通信の利用を実現出来ていたのだが、
今は 物理的なSIMカードを買わなくても、
ネットから eSIM の契約手続きをするだけで
それが出来てしまうと言うから
便利な世の中になったものだ。
わざわざ Wi-Fi のルーターを借りる必要もない。
ただし、手続きが少し煩雑な上、
eSIM の契約は今回が初めてだったため、
色々と調べながらでやっていると
契約にこぎつけるまでに2時間を擁してしまった。
四苦八苦の末、
何とか手続き完了。
私が契約したのは 某S社の短期プラン。
香港、マカオ周辺エリアを網羅したもので、
期間は 今日から10日間。
(ただし、データ通信のみで通話はなし。)
料金は3000円だから、
1日当たり300円の計算だ。
使用可能データ量は1日1ギガまでで、
宿の Free-Wi-Fi と併用して使えば、
余程使い込まない限り十分事足りる。
1日たったの300円で
ほぼ不自由なくネットが使えるのだから、
安いものだ。
これで スマホの地図も自由に使えるし、
街歩きも万全だ。
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『深夜特急』に影響されて旅好きになった身としては
ネット環境に頼って街歩きをするのは
どこか邪道な気もするし、
数年前なら思ってもみなかったことだ。
しかし、これはこれで新しい価値観として
受け入れていこうと思う。
『深夜特急』で沢木耕太郎が旅していたのは、
50年も昔の話だ。
確かに地図を片手に、
様々な想像を膨らませながら歩く体験は
何物にも代えがたいものではあるが、
この時代に あえてそれをすることに
意味があるのかと考えてしまうことがある。
言ってみれば、
マッチやライターがあるにも関わらず、
わざわざ木や落ち葉を使って火を起こすようなものだ。
それはそれで楽しくはあるだろうが、
それだと、そもそもの目的が変わってきてしまう。
バックパッカーの ‶レジェンド″である 当の沢木耕太郎でさえ、
持って行く荷物をバックパックではなく
キャリーバッグに代えたところ、
とても便利だったと
ラジオで話していた気がする。
物事というのは
常に変化していくものなのだ。

10時半ごろ 宿を出発する。
まずは フラフラと彌敦道を
歩いて南に移動。
すでに人でごった返す香港の街並みは、
昨夜 空港からのバスで降り立った時の景色とは
どこか違って見える。
佐敦から尖沙咀と通過して行き
途中 九龍公園のそばを通って行くと、
重慶大厦 が見えてきた。
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かつて「悪の巣窟」とも呼ばれた 重慶大厦 。
ドラマ版『深夜特急』や映画『恋する惑星』にも登場する
香港 九龍地区のランドマーク的な存在であり、
1980年代以前には不法滞在者やドラッグの売人がひしめく場所として
悪名高かった、伝説的な雑居ビルだ。
現在では、治安もだいぶ改善され、
よっぽどでなければ 犯罪に巻き込まれるようなことは
少なくなったようだが、
インド系移民の商店がひしめくグランドフロアに足を踏み入れると、
当時の無国籍な怪しい雰囲気を かすかに味わうことが出来る。
また、建物の上層階には
バックパッカー御用達の安宿がひしめいている為、
私のような格安旅行を企てる旅行者には
お馴染みの場所でもある。

私も何度か滞在したことがあるが、
少なくとも 見た目に関しては
以前と全く変わっていないように感じる。
(今回の旅の後半でも 滞在する予定。)
特に用事は無くても、香港に来た際、
必ず一度は訪れる場所だ。
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今回 ここに立ち寄ったのは、
手持ちの日本円を香港ドルに両替するためだ。
重慶大厦 のグランドフロア入口付近には、
いくつもの両替所が建ち並んでいる。
そのうちの レートの良さそうな一軒で
ひとまず 1万円分の現金を両替えする。
レートは1万円当たり$538。
($1=約¥18.5)
成田空港で両替えした時のレートが
$1=約¥20.8 だから、
それに比べれば だいぶレートは良いようだ。
早速 近くのコンビニに立ち寄って
オクトパスカード(日本のSuicaのようなもの)に
$200分をチャージしてもらい、
次に スターフェリーの埠頭へ向かう。
ペニンシュラ・ホテル、YMCA といった
日本でもお馴染みのホテルの前を通り過ぎ、
スターフェリーのターミナルに到着。
ターミナルの目の前にあるマクドナルドで、
軽い腹ごしらえに
チョコとストロベリーのアイスクリームを購入。($10=約185円)
以前にも、ここのマックで
アイスクリームを買ったことがあった。
いちいち懐かしい・・・。
Harbour City(香港最大級のショッピングモール)に立ち寄って
トイレを済ませた後、
いよいよスターフェリーに乗船。

(Harbour City の施設内では、
日本でも人気の『ちいかわ』グッズの
販売イベントをやっていた。
ここ香港でも 『ちいかわ』は大変な人気らしく、
ニュースでも取り上げられていた。)
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このスターフェリーは、
香港の大陸側の九龍地区と
香港島の中環地区とを結ぶ主要な交通機関で、
その景観の素晴らしさから、
香港観光の代名詞となっている。
5分から10分間隔で便が運航しているので
交通手段として とても便利な上、
夜間は海上から香港100万ドルの夜景を、
下層デッキなら
たったの$4(=約74円)で眺めることが出来る。
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『深夜特急』の中でも度々登場するこの路線は、
昔から 私にとって憧れの乗り物だった。
以前香港を訪れた際も、
作中の‶私″がやったように、
ソフトクリームを頬張りながら
10分ほどの小さな航海を楽しんだものだった。
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オクトパスカードを使って改札を抜け、
待合室で次の便を待つ。
ここで持ってきたイヤホンを装着。
流す曲は、井上陽水の

『積み荷のない船』だ。(ドラマ版『深夜特急』の主題歌)
否が応でもテンションが上がる。
10分程度と あっという間ではあるが、
気持ちの良い海風を受けながら観る
対岸の香港島のビル群の眺めは、
やはり格別のものだった。
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