新しいゲーム体験
( 閑話休題 )
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『 THE LAST OF US Part1 』( 以下『 ラスアス1 』)は、
Sony Interactive Entertainment( SIE )傘下の
Naughty Dog( ノーティードッグ )により開発され、
2013年に発売された PS3時代のゲームソフトです。
発売と同時に大ヒットを記録、
様々なゲーム賞を総なめにし、
10年近く経った今でも根強い人気を得ています。
特に発売当時は、その美麗なグラフィックの進化と共に、
それにより可能になった、ゲームとは思えない登場人物の複雑な心理描写と、
なによりその重厚なシナリオが各方面から高い評価を得ました。
物語はパンデミック後の荒廃した世界を描いており、
いわゆるゾンビウィルスのようなものが蔓延した世界で、
早くに娘を亡くした中年男性の ジョエル と、
特殊な免疫を持った少女 エリー の2人が、
過酷なサバイバルを生き抜くなかで
徐々に互いの信頼を深め、
疑似的な親子関係を築いていく。
ざっくり言うとそんな物語です。( あくまでも本当にざっくり言うとですが。)
いわゆるゾンビものであり、ディストピアものであり
サバイバルものであり、ポストアポカリプスものでもあります。
古くは G・A・ロメロ の『 ゾンビ 』、
最近では『 ウォーキングデッド 』などを例に出すまでもなく、
これらの題材は、近年そこまで珍しいものではなく、
また これらのジャンルとアクションや重厚な人間ドラマは、
もともと相性が良いことで知られています。
それではなぜ、この『 ラスアス1 』
がここまでの評価を得たのか。
それは、グラフィックの向上により、
今まで以上に 登場人物やストーリーに
感情移入しやすくなったという部分もありますが、
なによりも ゲームをプレイするという行為そのものの性質こそが、
その理由であると私は考えます。
つまり ゲームを進行する上で、
プレイヤーは自ら ジョエル や エリー を操作する必要があり、
ただ見ているだけで話が進んでいく映画や、
ページをめくるだけの小説や漫画とは
登場人物への感情移入のレベルが圧倒的に違うからです。
ゲーム内でキャラクターを操作する際、
我々プレイヤーは様々な選択を迫られます。
どのルートで攻略するか。
どの武器で敵を倒すか。
どこで回復して、どこで武器をアップグレードするか。
敵を倒すか、倒さずステルスで進むか。
エリー に話しかけるか、話しかけないか。
『 ラスアス1 』は、ゲームとしては
いわゆる1本道のジャンルになりますが、
( ストーリーが枝分かれせず、あらかじめ大まかなルートが決まっている。)
それでも主人公を動かしている間、
プレイヤーは ジョエル そのものであり、
エリー が受けた痛みは( もちろん物理的には違いますが )
プレイヤーの痛みでもあるのです。
そんな今までにない極上のゲーム体験をさせてくれた『 ラスアス1 』の
待望の続編が、2020年発売の
『 THE LAST OF US Part2 』( 以下『 ラスアス2 』)です。
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