問題点と改善点
*『 Stray 』本編のネタバレが含まれます。
ツッコミどころもある。
ストーリーは割と単調だ。
途中お使いイベントで進行する場面もあり、
同じことの繰り返しのように感じたりもした。
ラストの展開もある程度予想出来るし、
既視感のあるものだった。
( しかし 後述するが、このシンプルさ、‶ ベタさ ” こそが
この物語には必要だったとも言える。)
前述のように、猫であることで
超難易度アクションの説得力は上がったが、
逆に説得力に欠ける部分も出てくる。
‶ 猫が賢こ過ぎる問題 ” だ。
作中 猫はB-12というドローンの通訳機能を通じて
ロボット達とコミュニケーションを取り
次にやるべきことを決定していくのだが、
これはどう考えてもおかしな話だ。
人間や動物同士なら表情や仕草で
何を考えているかの意思が読み取れる可能性はあるが、
ドローンやロボットには
当たり前だが生物のような表情は表現出来ない。
という事は、今作の主人公の猫は
B-12を介して発せられる言葉を
理解しているという事になる。
これはストーリー進行の都合上 仕方ない設定ではあるが、
重箱を隅をつつくようだが気になる部分ではある。
途中のパズル要素も、猫が解くにはさすがに難しいものばかりだ。
( アウトサイドの変容ぶりは核戦争後を示唆したものであるから、
突然変異によって IQの異常に高い猫が
生まれたと解釈出来なくもないが・・・。)
他にも カメラアングルの悪い箇所や、
いくつか進行不能バグも報告されているようだが、
この辺りは後から出るパッチで修正されていくだろう。
ポストアポカリプス( 終末もの )
このゲームは 人類の文明が滅んだ後の世界を描いた
いわゆる ポストアポカリプス( 終末もの )である。
ゾンビの出現や核戦争によって人類が絶滅寸前となった世界で、
生き残った人々が必至で生き残ろうとする姿を描くというフォーマットは
ジャンルを問わず 近年のトレンドと言っていい。
少し前なら『 ラスアス 』や『 Fall Out 』シリーズ、
『 ホライゾン 』シリーズや『 Days Gone 』、
『 DEATH STRANDING 』など、
ゲームだけに絞っても枚挙にいとまがない。
理由はどうあれ、人類のほとんどが居なくなった世界は
ゲームの世界でも大流行中である。
なぜここまで このジャンルが皆に支持されているかの考察はさておき、
この 『 Stray 』が斬新なのは、生き残ったのが
猫と、人間を模倣をするロボットのみというところだろう。
( ZURK は生物とも言えるが、
太陽光で死滅するバクテリアをどこまで生物と呼べるかは疑問だ。)
似たような設定で Pixar のアニメ映画『 ウォーリー 』があるが、
あちらは人類は地球を捨てて宇宙に移住したという事実が
後から分かってくる。
『 Stray 』において、
人類は環境問題を不完全な科学力で解決しようと
新種のバクテリア( ZURK )を生み出し、
自ら死滅を招いた。
物語終盤では その理由について、
まず下層の住人が死んでいったのを
上層に住む支配層が軽視し 対策を怠ったため、
最終的に上層部まで ZURK に侵されてしまい
絶滅に至ったという内容が B-12によって語られる。
人間の愚かしい姿を皮肉る姿勢というのは
こういった終末ものの常ではあるが、
その愚かな人間の姿を、
ロボットたちが真似て生活しているという点も
このゲームの面白いところだ。
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