シドニー五輪最終予選 vs カザフスタン戦
1996年11月6日。舞台は国立競技場。
ホームにカザフスタンを迎えて、
日本は勝つか引き分けでも出場が決まる状況。
ホームの日本にとって楽な条件ではあったが、
そこは何が起こるか分からないアジア予選。
前回のオリンピック予選の通過は28年ぶりであったし、
2年前のフランスワールドカップの予選も、
薄氷の上を渡る思いでつかんだものだった。
今でこそインターネットの普及で スカウティングも容易になったが、
実質東欧の国と言っていい カザフスタンの実力は未知数であり、
また 体格的に優る国との対戦を日本は苦手としており、
不気味な存在であった。
満員に埋まった国立のピッチに立つ日本代表のメンバーがこちら。
フォーメーションは 3-5-2。
FW 平瀬 福田
MF 俊輔 中田ヒデ 明神
稲本 遠藤保
DF 中田浩 宮本 中澤
GK 曽ヶ端
一方のカザフスタンは 4-4-2 で試合開始。
日本は前半からゲームを支配し、
左サイドから中田浩二のロングフィードや、
俊輔からのセンタリングなどでチャンスを作り出す。
どちらかと言うと右サイドの明神は抑え気味で、
左サイドに攻撃的な選手を配置して攻めようというのが
トルシエの基本的な考え方だ。
16分には右サイドからのグラウンダーのセンタリングを福田がシュート、
その後も立て続けに2本のFKを得て相手を押し込む。
俊輔も左サイドに張るだけでなく 中に入って組み立てに参加し、
トップ下の中田と共にリズムを作る。
そろそろ先制点が欲しいところだったが、
25分にカザフスタンがCKを得て
少し相手の時間になり始めたところで、
29分、日本は自陣左サイドからのFKを与えてしまう。
キッカーの正確なクロスが⑥番のシェフチェンコの頭にピタリと合い、
曽ヶ端が守るゴールを破られ 思わぬ形で先制を許す。
32分、ゴール前やや左20m付近から直接FKのチャンスも、
俊輔のキックはゴールの枠を逸れバーの上へ。
その後日本も 何とかカザフスタンゴールをこじ開けようと、
俊輔と中田ヒデがポジションをチェンジをしたり、
39分に遠藤を下げ酒井を投入、
明神をボランチ、酒井を右サイドに配置し
何とか局面を打開しようと試みる。
40分の中田ヒデの体幹の強さを活かした
重戦車のようなドリブルからのスルーパス( オフサイド )など、
いくつか見せ場はあったが、スコアが動くことはなく、
そのまま0ー1で前半は終了。
前半を通して見ると、
日本がボールを保持する時間が長く、
カザフスタンは基本的にカウンター主体のゲーム運び。
29分の失点以降その傾向はより顕著になった。
俊輔は中央で組み立てに絡んだり ボールに触れる機会は多かったが、
従来のウィングのように左サイド深くまでは入り込めず、
不用意なボールロストも何度かあった。
中田ヒデは相手の⑯番にマンマークで付かれるも、
時折ポジションチェンジをしながら
何度かチャンスに繋がる仕事をする場面もあった。
しかし、攻め込んでいた割に決定機は少なく、
全体的に日本はカザフスタンを攻めあぐねていた印象だった。
試合は後半へ。
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