中村俊輔 永遠のファンタジスタ #6

サッカー
永遠のファンタジスタ 中村俊輔

ファンタジスタ 中村俊輔の魅力とは

最後に、ファンタジスタ中村俊輔の魅力とは

いったい何なのか。

それは個人的に、彼の歩んできた

選手としての軌跡そのものにあると思っている。

そのストーリーの浮き沈み、

何度も挫折から這い上がり 再び光り輝く姿が、

今風に例えるならば ‶ 主人公感 ” とでも言うべきものを醸し出して、

ついつい応援したくなってしまうのだ。


また 南米の選手のように派手なフェイントの数々や、

華麗で正確なフリーキックも、

まさに少年漫画の主人公が繰り出す必殺技のようで、

多くのファンに親しまれる理由かも知れない。

彼はJリーグ MVP を2度受賞した唯一の選手であり

他にもスコットランドでの MVP に加え、

2004年アジアカップでも MVP を獲得している。

これは単純なチームへの貢献もさることながら、

やはり プレイの派手さやインパクトの大きさにも

選ばれる理由があるのではないかと推測する。

Jリーグでの2度の MVP の際も、二度とも優勝を逃しており、

普通であれば 優勝したチームから

最も貢献した選手が選ばれることが多い MVPだが、

やはり 俊輔個人の残したインパクトが、

それだけ大きかったということだろう。

要は彼が、華のある、

見栄えのするプレイヤーだということだ。

世界的に見ても、リーグ MVP を生涯3度以上受賞した選手というのは、

本当に限られたレジェンド級の選手以外、

ほとんどいないと言って良いだろう。


また、彼が活躍した時代にも言及しておきたい。

サッカー後進国と言われ続けてきた日本サッカー界において、

それ以前に ヨーロッパや南米でプレイし、名を成した選手というのは数えるほどで、

今で言う 海外組もほとんど存在しなかった時代。

そんな中、三浦カズ が足がかりを作り、

中田ヒデ が一気に門戸を開いて、

漫画の世界だけでなく、現実でも日本人が世界で、

しかも欧米や南米を凌ぐ高い技術とテクニックを武器にして

活躍出来るのではないかと、皆が期待を抱いていた頃。

折しも衛星放送や、インターネットが身近になって来たタイミングでもあり、

世界のサッカーがより身近に感じられるようになった時代だからこそ、

前述したように、遠藤保仁( ヤット )だけでなく、

日本のサッカーファン全体が

俊輔や小野、中田ヒデに、

何とか欧州のサッカーの歴史に日本人の名を刻んでほしいと、

その成功を夢見たのではないだろうか。


また彼は、世界的に見ても希少な

トップ下、いわゆるピッチ中央を主戦場とした、

オールドスタイルのファンタジスタであった。

組み立てからチャンスメイク、フィニッシュワークまでを1人で幅広くこなす

古典的なタイプのファンタジスタは、

ジダン や少し下の俊輔の世代を最後に、

生まれづらい時代になってきていると言える。

今や世界のサッカーは進化し、

局面を一人の力で打開するのではなく

チーム全体が一体の生き物のように有機的に機能し、

相手を支配し、圧倒するというスタイルに変わってきている。

ユルゲン・クロップ や ペップ・グアルディオラ が作り上げた

チームとその戦術は、

ダイナミックかつ流動的でありつつも、

非常にシステマティックであり、

強度のフィジカルも要求される

まさに究極のスペクタクルと言ったもので、

観ている者を魅了してやまない。


しかし そんな現在、または未来においても、

今後 サッカーの試合を観戦する際、

独特な発想を持つ、

その選手個人のアドリブで試合を決定づけるような、

古きファンタジスタの臭いがする選手を探す自分を

想像してしまうのだ。

数年後その役割を担うのは、前線や中盤の選手ではなく、

サイドバックかも知れないし、ゴールキーパーかも知れない。

しかし、そんな選手を発見した時、

それが何十年後かでも、

私はきっと 中村俊輔の名前を思い出すことだろう。

なぜなら彼こそが、

私にとって 永遠のファンタジスタだからだ。

終わり

永遠のファンタジスタ 中村俊輔の軌跡

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