孤旅 #61 チェコ

プラハ ミュシャ 一人旅
市中にあるミュシャのギフトショップ / プラハ

2016 8月7日 (日) Praha

『 スラブ叙事詩 』

チェコ
プラハ
カレル橋
カレル橋の上は人が賑わう / プラハ

昼から アルフォンス・ミュシャの

『 スラブ叙事詩 』を観に行く予定だったが、

宿を出るのがだいぶ遅くなってしまった。

と言うのも、宿の娘にバスの E-チケットをプリントアウトするのに

プリンターを使わせてもらうようお願いしていたのだが、

オーナーが来てからでないと使えないとのことだったので、

昼頃まで 調べ物をしながら部屋で待っていた。

12時になったので下に降りて行ってみると、

娘とオーナーらしき小太りの中年の女性がなにやら揉めている。

どうも PCとプリンターを貸す貸さないというのが

揉め事の原因らしかった。

しばらくして 何とか貸してもらえることにはなったのだが、

女性のオーナーは終始怒っている様子だった。

PC を開いてみたはいいが、元々こういった操作に不慣れなのと、

文章が所々チェコ語だったりするので、

扱おうにも全くもって要領を得ない。

オーナーは終始機嫌が悪いので 聞いてみるわけにもいかず、

何だかんだやっているうちに時間は1時半を過ぎてしまい、

午後の予定もあるので プリントアウトは渋々諦めることにした。

時間を無駄にしてしまったが、仕方がない。

町中で出来るところを探すことにした。


いよいよ『 スラブ叙事詩 』を観るため、

展示されている プラハ・ナショナルギャラリーへと向かった。

トラムで最寄りの停留所まで移動する。

お目当ての場所はすぐに見付かった。

ギャラリーは ミュシャ の作品以外にも

現代アートの作品など色々展示しているようだったが、

全部観るとなると400kc( 約1700円 )かかる。

『 スラブ叙事詩 』だけなら180kc( 約750円 )なので

そちらのチケットを買い入場することにした。


チェコ出身の画家 兼グラフィックデザイナー、アルフォンス・ミュシャ。

プラハに来るまで 彼の事はまるで知らなかった。

最近 彼の絵を目にする機会があって、

以前何かで見たことがあるなとは思ったが、

まさか100年前に活動していた人物とは思わなかった。

それくらい 彼の作品は現代的だし、

同年代に活躍した他の作家たちの画風とは 一線を画しているように思える。

( と言っても、他の作家も良くは知らないが・・・。)

しかし、昨日プラハ城の聖ヴィート大聖堂の中で

ミュシャ作のステンドグラスを見て圧倒されてから、

今日の見学を楽しみにしていたのだ。


ミュシャ の代表作にして、

構想から20年をかけて制作されたという

『 スラブ叙事詩 』。

合計20枚からなるこの連作は、

まさに圧巻の一言であった。

全体を遠目に俯瞰ふかんして観るも良いのだが、

一人一人の表情にフォーカスして見ると、

苦悶、虚無、悲哀、歓喜、様々な表情が

見る者の心情に訴えかけてくる。

その細かなディテールまで目を凝らしながら1枚1枚鑑賞していると、

ついつい時間が経つのを忘れてしまう。

先日観た ブリューゲル の作品もとても印象的だったが、

その存在すら知らなかった分だけ

こちらの方がインパクトでは優る。

『 深夜特急 』の中で、〈 私 〉こと沢木耕太郎が

チェコ
プラハ
アルフォンス・ミュシャ
スラブ叙事詩
ミュシャの生涯をかけた連作『 スラブ叙事詩 』の三連画 / プラハ

ミケランジェロの『 ピエタ 』を初めて見て感銘を受ける場面があるが、

この『 スラブ叙事詩 』こそ 私にとっての『 ピエタ 』であり

心の深い部分に突き刺さるものがあった。

やはりこういった作品というのは、

1度でも本物を生で見るべきだと思った。

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