孤旅 #156 モロッコ

モロッコ シディ・イフニ 夕陽 一人旅
水平線に沈む夕陽 / シディ・イフニ

預金残高 と マラドーナ( シディ・イフニ 3日目 )

モロッコ
シディ・イフニ
階段
ビーチ
ビーチへと続く階段 / シディ・イフニ

朝起きて しばらく部屋で過ごした後、

10時過ぎに 1階のカフェで朝食を取る。

日課となったオムレツを食べながら

ネット経由で銀行口座の残額を調べてみると、

予想していた額との大きな開きに愕然がくぜんとした。

残高が 40数万円 しかない。

落ち着いて考えると キャッシュで持っている分も含めれば、

50万円弱 くらいはあるのだが、

それでも 口座残高が 40万円 を切ろうとしていることに

衝撃を受けてしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・

人は40万円で、何が出来るだろうか?

・・・・・・・・・・・・・・・

結構なことが出来る気もするし、

大したことのない金額にも思える。

物価の安いインドなら、1年くらいは暮らせそうな気がする。

( *あくまで 2016年当時の感覚での話。)

しかし、これがヨーロッパなら、

せいぜい 一月ひとつき二月ふたつき

あっという間に雲散霧消うんさんむしょうしてしまうだろう。

そうでなくても、

これから大西洋を渡って 南米を訪れた後、

更に太平洋を渡り日本に帰ろうとしている人間にとっては、

極めて少額に思えてくる。


だが、こうなったら

出たとこ勝負というのもある。

全ての国は回れなくても 行けるところまで行って、

例え どこかで資金が底を突いたとしても、

日本に無事帰れれば それで十分な気もする。

もう こういった旅も、

今回で最後になるだろう。

例えば 親や友人に無心をするなど、

多少 周りに迷惑をかけたとしても・・・、

いや、なるべく迷惑をかけずに済ませられるように、

節約に努めよう。


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シディ・イフニ
ビーチ
けっこう波が高い シディ・イフニのビーチ

食事を終え、部屋に戻って洗濯を済ませ、

3時過ぎにビーチに泳ぎに出かけた。

海で泳ぐのは いつ以来か?

今回の旅では、

ホアヒン( タイ )、ヴィゼルバ( イタリア ) といった

海沿いのリゾート地に訪れたが、

最後に泳いだのはクロアチア の ドゥブロブニク 以来、

3カ月ぶりくらいか。

イフニのビーチは 波が高く、

沖へ向かうには 少なからず勇気がいる。

インドの プリー というところで泳いだ際には、

あまりに引き潮の流れが速くて

危うく溺れかけたことがある。

波は怖いものだ。

それでも、やってくる高波に身体をゆだねた時の、

何とも言えない 無重力状態に似た感覚は、

他では得難いものだ。

あまりに波の勢いが強くて、

砂利石じゃりいしだらけの砂浜に しこたま腰を打ち付けられ、

お尻を擦りむいたりもしたが、

久々の波打ち際での遊びは、とても楽しかった。


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シディ・イフニ
ビーチ
ベランダ
海を見下ろせるベランダ / シディ・イフニ

切りのいいところで 海から上がって、

町へと繰り出した。

夕陽は暮れかけて、

水平線に日が沈むまで 海沿いにいても良かったが、

夕暮れ時の街並みも 見てみたいと思い直し、

気の向くままに 街を散策する。

日が暮れて暗くなるまでのひと時を、

お茶でも飲んで過ごそうと 皆が集まるためか、

どこの食堂も とても賑わっていた。

一昨日おととい 夕食を取った店の前で、

オーナーのオジさんに声を掛けられたので、

一昨日と同じ席に案内してもらい、

やはり、一昨日と同じ チキンのタジン鍋を注文。

出された料理は、今日も変わらぬ美味しさだった。


食堂にあるテレビで、

アフリカ選抜 対 往年の世界選抜 といった感じの

サッカーの チャリティマッチを放送していた。

ライブか 録画かは分からないが、

食堂内の皆が 楽しそうに観戦している。

何と、あのスーパースター、

ディエゴ・マラドーナ と、

その相棒の クラウディオ・カニージャ ( カニーヒァ )が、

世界選抜で 共に出場していた。

マラドーナは、現役時代の 筋骨隆々きんこつりゅうりゅう な体型は見る影もなく、

だいぶえていて、

歩くのもやっとといったコンディションだった。

それでも、時々ボールが回ってくると、

往年のプレーを彷彿させるボールタッチを見せる。

不思議なもので、

サッカー選手のプレースタイルというか、

フォルムや動作というのは 独特で、

ボールの持ち方やタッチの柔らかさ、

あるいは 腕の振り方やストライドの大きさ、

ドリブルする時の背中や腕の角度など、

小さな画面でも 何となく 〈 あの選手だ! 〉と

分かってしまうものだ。

特にスターとなれば 猶更その特徴は顕著で、

言ってみれば 一人一人違う

指紋のようなものとも言える。

だいぶ太ってしまってはいたが、

こういった不定期で開催されるチャリティ・マッチで、

マラドーナでしかない・・・・・・・・・・ボールタッチを 今でも見られるというのは、

サッカー好きにとっては 本当に有難い事だ。

スピードも運動量も ほぼ皆無の マラドーナ ではあったが、

途中出場の カニージャ にスルーパスを通し、

それが得点に繋がったプレーがあった。

カニージャも 引退してだいぶ経つはずだが、

彼 御自慢のスピード感あふれるプレーの一端が

垣間見えた場面だった。

私が初めて本格的にテレビで見たワールドカップが、

1990年のイタリア大会で、

その時のアルゼンチン代表での二人のコンビ・プレーに

夢中になった記憶が蘇ってくる。

二人とも、私の青春時代の

アイドルだった選手だ。

まさか、こんな北アフリカの辺ぴな食堂で、

再び彼らのプレーを、

テレビ放映とは言え 見られるとは思わなかった。

今日は この食堂に来て正解だった。


その後、飲み物を買って宿へ帰り、

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夕陽
今日も美しい夕陽が 1日の終わりを告げる。

部屋で 最近ハマっている PSPピーエスピー のゲーム、

『 勇者のくせに なまいきだ 』をやって過ごした。

泳ぎに行って 体を動かした疲れからか、

プレイしているうちに

いつの間にか微睡まどろんでいた。


1日の歩数:5838歩( 4.4km )

1日の出費

食費

朝:20DH( オムレツ、ミントティ )

夕:41DH( チキンタジン )

その他

ホテル:150DH

雑費:17.5DH

合計 約¥2399

1DH=¥10.5 *当時のレート

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