ファンタジスタの定義
‶ ファンタジスタ ” の語源については
ネット上などで既出だが、
イタリア代表の伝説的プレイヤー、ロベルト・バッジョのことを、
イタリアのメディアが呼び始めたのが最初だと言われている。
それ以降、彼のプレイスタイルになぞって、
創造性があり、テクニックに優れた選手全般のことを指すようになった。
( 私の記憶では、‶ ファンタジスタ ” という言葉が
日本で使われ始めたのは 1990年代後半からで、
2000年代前半には、
一般的にも浸透していたと記憶している。
実際 その名を冠した漫画も登場し、一時期 私も読んでいたくらいだ。)
ロベルト・バッジョと言えば、
有名なのが1994年のワールドカップでの活躍だろう。
決勝のPK戦での失敗のシーンが取り上げられることが多いが、
決勝トーナメント一回戦で早くも敗退かという場面での
土壇場での同点ゴールを皮切りに、
毎試合重要なゴールを次々に決め続け、
チームを決勝の舞台まで引き上げた
最大の功労者は ロベルト・バッジョ であった。
ケガを押しての出場で 満身創痍になりながらも、
ゴールを決める彼の姿は世界中から賞賛を集め、
とりわけ、体格も小柄でフィジカル的にもそこまで突出したものがない点が
「 ガラスのエース 」が好きな日本人にも受けて、
日本にもファンが多かった印象だ。
その人気は、大会MVPのロマーリオを
遥かに凌ぐものだったと記憶している。
‶ ファンタジスタ ” という言葉に付いて回る
どこか儚げな印象も、
そんな ロベルト・バッジョ のイメージから
きているのかもしれない。
近年、よりフィジカル強度が求められるサッカーのフィールド上において、
恵まれた体格を持たなくても、
一瞬の閃きだけで試合の行方を決してしまう。
そんなイメージが ‶ ファンタジスタ ” にはある。
そういった意味で言うと、
実はフィジカルモンスターだったマラドーナや、
体格に恵まれたジダンなどは、
違ったカテゴリーにカテゴライズすべきなのかもしれない。
( さしずめ ‶ アルティメット・フットボーラー ” とでも呼ぶべきか。)
ロナウジーニョなども、
派手なフェイントの印象が強いが、
実際は強靭なフィジカルを持った選手だと証言する人が多い。
それでは、われらが中村俊輔はどうだろうか。
私が思うに、プレイ強度や実際プレイしたステージは
一旦置いておくとして、
彼の見せてきたプレイの数々は、
歴代の有名なファンタジスタたちに
全く引けを取っていないのではないだろうか。
キックの精度、広い視野、プレイヴィジョン、
多彩なフェイントの数々、強烈なミドルシュート。
とりわけ、彼の代名詞であるフリーキックについては
文句のつけようがなく、
直接決めるものだけでなく、
味方に合わせるアシストの部分も加味すると、
歴代の名だたるプレイヤーの中でも
かなりの上位にカウントされるのではないだろうか。
遂に現れた日本原産のファンタジスタ。
そんな中村俊輔に、
我々は何を夢見たのだろうか。
・・・#2へ続く
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