FIFAワールドカップ 思い出のBest Bout ① 

FIFAワールドカップ サッカー
数々の名勝負を生んできたFIFAワールドカップ

私的 ベスト・バウトをご紹介

これまで数多の名勝負が繰り広げられてきた FIFAワールドカップ。

第1回のウルグアイ大会から始まって、

今回のカタール大会は22回目を数えるが、

その中から 私が個人的に記憶に残っている試合『 ベスト5 』を、

振り返っていきたいと思う。

① 1990年 イタリア大会 ブラジル × アルゼンチン ( Round of 16 )

【1】圧倒的不利な状況

前回王者アルゼンチンと名門ブラジル、

南米の強豪同士の対戦。

ブラジルはグループリーグを全勝で突破し絶好調。

アルゼンチンは1勝1分け1敗で

薄氷を踏む思いでの3位通過。

FWカレッカ を中心に各ポジションに穴が無いブラジルに対し、

アルゼンチンは マラドーナ がケガの影響で

本来の調子には程遠い状態。

両足にサポーターを巻き、

後ろからのタックルに備えて足の裏側( ふくらはぎの方 )にも

レガースを入れているのが痛々しく、

時折りらしいプレーは見せるものの、

前回大会MVPを取った時のような

ダイナミックな動きや爆発的な突破力は

影を潜めていた。

マラドーナ を支えるチームメイトにもタレントが不足しており、

計算出来る戦力と言えば、

今大会その圧倒的なスピードでブレイクを果たした

ブロンドのスピードスター、FWカニージャ のみ。

試合は大方の予想通り

前半からブラジルが圧倒する展開。

攻め手の少ないアルゼンチンに対し

ブラジルは常にボールを支配し、

機を見てはペナルティエリア近くまで侵入して

シュートの山を築いていく。

対するアルゼンチンは 要所要所を抑えた守備で

失点こそ許さなかったが、

常に主導権をブラジルに明け渡した状態で、

唯一攻撃の可能性が感じられたのは、

マラドーナ がボールを持った際、

カニージャ がスペースに走り込む動きを見せた時だけだった。


近年の メッシ 中心のアルゼンチンを見ても分かるように、

圧倒的なタレントを中心に据えた、

スターシステムを採用するチームは、

そのスター選手が不調に陥ると 一気にチームが停滞してしまう。

前回大会の マラドーナ は運動量も多く、

攻撃のいたるところに顔を出しては、

ほぼ全てのチャンスに絡んでいた。

今大会の彼はケガの影響で動きも少なく、

自然と相手を背負ってのプレーが多くなり、

どうしても攻撃の手数が限られてしまっていた。

4年前の彼なら それでも何とかマークを剥がして

攻撃に繋げられていたかもしれないが、

4つ年を重ねた分、マラドーナ のプレースタイルも

徐々に変化してきていたこともあり、

チームへの影響力は 部分的なものとなっていた。

それでも依然として

彼が世界一のフットボーラーであることは疑いようがなかった。

それをこの試合後半のたった一つのプレーで

改めて世界中に証明することになるのだ。

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