FIFAワールドカップ 思い出のBest Bout ⑥ ~日本代表編~

FIFAワールドカップ サッカー
数々の名勝負を生んできたFIFAワールドカップ

歴史に残る一戦

【3】前半 ~嵐の前の静けさ

2018年 ロシア大会 決勝トーナメント1回戦

ベルギー 対 日本 ( 2018.7.3 ロストフ・アリーナ )

日本は1戦目、2戦目と同じ

4-2-3-1のフォーメーション。

GKに 川島。

DFが 酒井宏樹、吉田、昌子、長友。

2ボランチにキャプテン 長谷部 と 柴崎。

左右のウィングの右に 原口、左が 乾。

1トップに 大迫、トップ下が 香川 の布陣。

3戦目のポーランド戦にターンオーバーを採用したことで、

多くの選手を休ませることが出来た。


一方のベルギーは

3-4-2-1。

鉄壁の守護神 GKクルトワ。

3バックが アイデルバイレルト、コンパニ、ベルトンゲン。

ボランチに長身の ヴィッツェル と 世界屈指のパサー、デ・ブライネ。

両サイドのウィングバック、右にムニエ、左にカラスコ。

1トップに ‶ フィジカル・モンスター ” こと ルカク。

2シャドーにスピード豊かな点取り屋 メルテンス とドリブラーの アザール。

各ポジションにワールドクラスを配し、

それぞれが個性的な特徴を持った選手ばかりの

まさしくドリームチームだ。

特にボランチの位置から常に良質なパスを供給する MFデ・ブライネ と、

推進力のあるドリブルで決定的な仕事をする MFアザール が織りなす攻撃は、

観る者を楽しませると同時に

対戦相手を混乱に陥れる。

グループリーグ3戦目のイングランド戦では

日本同様 大幅にメンバーを入れ替えたため、

こちらもフレッシュな状態でこの試合に臨むことが出来た。

次のベスト8で当たるブラジル戦に向けて

視界は良好のはずだった。


試合開始序盤の印象は、

( 日本も案外ボールを繋げるな。)というものだった。

FW大迫 を起点に、MF香川、MF乾 が絡み、

MF柴崎 が長短のパスでボールをサイドへ散らしていく。

時折り 長谷部 が2CBの間に降りて

中盤との繋ぎ役をこなす。

ベルギーのイージーなミスにも助けられ、

開始早々 MF香川 がシュートを放つ場面もあった。

しかし、15分を過ぎた辺りから

徐々に地力に勝るベルギーが盛り返してくる。

MFアザール や 右WBムニエ がサイドでボールを持つようになり、

カットインからのシュートや、

中に入ってのスルーパスを狙う場面が増えてくる。

両サイドにボールが入り幅が出来ることで

中央も空いてきて、

MFデ・ブライネ が自由にパスを供給し、

FWルカク にもボールが入るようになる。

組織だったというよりは、

個人の能力を最大限に引き出せるシステムに選手を当てはめたような攻撃。

前半の終盤、日本も左サイドの崩しから

MF乾 がヘディングでゴールに迫る場面もあったが、

終始ベルギーが攻め込む場面が続いた。

それでもスコアは動かず、

前半は0-0のまま終了。

試合は怒濤の後半へと入っていく。


【4】後半 ~待望の先制点と、予想外の追加点

後半開始早々 試合が動く。

48分、

後半から点を取りに来たベルギー。

右サイドの MFムニエ がワン・ツーから

強引にカットインしようとするところを MF乾 がカット。

中盤でフリーとなった MF柴崎 にボールを預けると、

MF柴崎 は右サイドを疾風のように駆け上がった MF原口 に絶妙なスルーパス。

MF原口 は 迫ってきた相手 DFベルトンゲン にワンフェイクを入れて

一瞬の間を図ると、

ファーサイドに右足の強烈なシュートをたたき込んだ。(0-1)

自陣から70m~80mを全力で駆け上がってからの

見事な一撃。

世界屈指の GKクルトワ も、

これに反応することは出来なかった。

日本が待望の先制点を上げる。


失点直後、アザール のシュートがゴールポストを直撃するも

得点には至らない。

逆に日本は 攻勢に出ようと焦るベルギーをいなすかのようにボールを保持し、

相手のミスを誘う。

そして、ついに52分、

ベルギーを突き放す1点を奪う。

MFメルテンス のミスパスをカットした DF吉田麻也 が左サイドに展開。

ボールを持った MF乾 がカットインからセンタリングするも跳ね返され、

ボールは MF香川 の下へ。

対峙する MFヴィッツェル を手玉に取り、

ヒールで後方にいた MF乾 へ完璧な落とし。

香川 に振り回された MFヴィッツェル の対応が遅れ、

余裕を持って振り抜かれた MF乾 のシュートは

無回転でゴール右に突き刺さった。(0-2)


待望の追加点。

しかし、このゴールが、

日本サイドにとって本当に待望のゴールであったかは

疑わしい。

少なくとも日本代表監督 西野朗 にとっては、

2点のリードは想定外の展開であった。

後半早々に大きなアドバンテージを得て、

この試合の勝利と共に、

次で当たるブラジルとの対戦さえ夢想し始めたファンも多かっただろう。

( テレビの画面越しに見ていた私もそうだった。)

この波に乗ってベルギーに勝てるのではないか・・・。

そういった思考が一瞬でも選手たちや監督、スタッフにによぎったとするならば、

それこそが ベルギーが付け入ることが出来るわずかな隙であった。

そして、結果論ではあるが、

ベルギーは そのわずかな隙を決して逃さず、

冷徹なまでに反撃のミッションを遂行することとなる。

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