あの日のハリルジャパン Vol.1

ワールドカップ ハリルジャパン オーストラリア戦 サッカー
決戦を報じる当時の各メディア

2017 8月31日(木) 2018FIFAワールドカップ ロシア  アジア最終予選 日本 × オーストラリア  

大会直前の解任 ヴァイッド・ハリルホジッチ

〈 3度の解任 〉

日本のみならず、世界中を熱狂の渦に巻き込んだ

2022FIFAワールドカップ カタール大会。

‶ メッシのための大会 ” となった今大会だが、

台風の目となり、アフリカ勢初のベスト4入りを果たした

モロッコ代表の躍進は世界中のサッカーファンを驚かせた。

ハキミ、ツィエク といったビッグクラブに在籍するタレントから、

今大会でブレイクした中盤のアムラバト、

驚異の身体能力を見せつけた エン=ネシリ といった突出した個の力と、

統率された守備などに見られる集団での強さが融合した、

見ていて とても楽しいチームだった。

しかし、そんな好調なチームの影で

忘れられそうな一つのエピソードがある。

我々日本人にとっても他人事ではない

大会直前の衝撃の人事。

ヴァイッド・ハリルホジッチ( ハリル )監督の解任である。


モロッコ代表を率いて カタール大会の

アフリカ予選を通過した ハリルホジッチだったが、

本大会が始まる3ヶ月前の8月に

解任の憂き目に遭った。

原因は ツィエク ら主力メンバーとの不和が

修復不可能なほど深刻だった為と報じられている。

通常、ワールドカップ予選を通過した監督は、

余程の事がない限りそのまま本選も指揮を執るのが一般的だ。

チームを作るには継続性が必須で、

数年単位で予選を戦い抜いた監督こそが

それを最も有効に活かせると考えるのが当たり前だからだ。

ただ 稀に( 病気や怪我以外では )

自国のサッカー協会との衝突や、ライバル国に大敗したなどの理由で、

監督交代が行われることが無くはない。

ただ、それは本大会でも上位進出が義務付けられている

ブラジル、スペインなどの強豪国が主で、

サッカー途上国や弱小国などでは、

予選を突破したという事は 一応のノルマは達成したということを意味し、

続投するのが既定路線だ。

しかし、このハリルホジッチ、

これまで ナショナルチームを4度ワールドカップ本選に導いているが、

2014年のアルジェリア代表を率いた時以外、

3度に渡り本大会前に解任されている。

中でも前回の2018年ワールドカップ前の

日本代表監督を解任された際の衝撃は、

我々日本人にとって 記憶に新しい出来事だろう。

私は どちらかと言えば ハリルホジッチ擁護派であるが、

これは言い訳出来ないデータだ。

やはり彼の監督としての能力、

あるいは彼のパーソナリティそのものに、

何かしら問題があるのではないかと勘繰ってしまう。


では これだけの ‶ 前科 ” があると知りながら、

なぜ私がハリルホジッチ擁護派なのかと言うと、

ずばり、ハリル率いる日本代表のベストゲーム、

2018FIFAワールドカップ ロシア大会、

アジア最終予選 日本ラウンド、

日本 × オーストラリア 戦を目の当たりにしたからだ。

天下分け目の試合 オーストラリア戦

〈 オーストラリア戦までの流れ 〉

2016年 9月から始まったロシア大会 アジア最終予選だったが、

日本は初戦のUAE戦をホームで落としてしまう。( 埼スタ:1-2 )

早くも暗雲立ち込める展開となったが、

次節以降は立て直し、ホームでは全勝、

引き分けもアウェーでのオーストラリア戦、イラク戦のみと

見事に復調する。

原口元気の4試合連続ゴールなどもあり、

第8節を終えた時点( 残り2節 )で

勝ち点17で首位に付けていた。


対するオーストラリアは勝ち点16で3位。

同じく勝ち点で並ぶサウジアラビアが

直前の試合でUAEに敗れたため、

サウジアラビアは勝ち点16のままで

最終節に挑むこととなった。

今節 オーストラリアが日本に勝利した場合、

勝ち点を19としてホームでのタイ戦を残すのみ。

次の最終節、サウジアラビアは日本と対戦。

2位の日本( 勝ち点17 )と3位のサウジ( 勝ち点16 )

で勝ち点を奪い合う形になるため、

オーストラリアの2位以上は確定。

( 各グループ2位以上は自動通過。3位以下はプレーオフに回る。)

つまり、オーストラリアも日本に勝てば本選出場決定となるのだ。

期せずして、この 日本 × オーストラリア 戦こそが

両チームにとって 今予選の天王山となった。


日本とオーストラリア。

どちらもアジアトップクラスの実力を持つ国同士だが、

ことワールドカップ予選での対戦成績においては

オーストラリアに分があった。

オーストラリアが オセアニア地区からアジア地区に組み込まれて以来、

今予選まで 日本はワールドカップ予選で

オーストラリアに勝ったことがない。

( 0勝 2敗 5引き分け、2017年8月時点 )

実力的には均衡している両チームにとって、

これは意外な結果とも言える。

しかし、2006年のドイツ大会において、

グループリーグ初戦で痛恨の逆転負けを喫してからは、

我々日本人サポーターにも

何となく苦手な相手というイメージが付きまとっていた。

そのデータは、オーストラリアのサポーターも熟知していたようで、

2009年に南アフリカ大会の予選で対戦した際には、

( 日本がアウェイで逆転負けした試合 )

オーストラリアサポーターが、

「 NIPPON:FOREVER IN OUR SHADOW( 日本は永遠に我々の影 ) 」

との横断幕を掲げ、

両国サポーター間に遺恨を残した。

まさに因縁の相手だ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました