あの日のハリルジャパン Vol.1

ワールドカップ ハリルジャパン オーストラリア戦 サッカー
決戦を報じる当時の各メディア

ハリルホジッチ という人物

〈 名将か迷将か 〉

日本代表監督になる前の ハリルホジッチ という人物について

知っていた人がいたとしたら、

余程のサッカーファンと言えるだろう。

イビチャ・オシム監督の【 友達 】の触れ込みで就任した ハリルホジッチ だったが、

その戦術やキャラクターはおろか、

名前ですらも 知っていた日本人は

ほぼいなかったと推測出来る。

かく言う私自身、就任時は彼のことを全く存じ上げなかった。

選手時代に2度フランスリーグの得点王に輝いたことや、

監督としては、フランスのリール時代に名を上げて、

以降はクラブや国の監督を転々としていたというのも

後から知ったもので、

唯一 ピンと来たのが、

前回のワールドカップブラジル大会で

アルジェリア代表を率いてグループリーグを突破し、

ラウンド16で 優勝したドイツを苦しめたというエピソードだけだった。

ただ、そのブラジル大会においては、

相手によってフォーメーションを変えるなど

‶ 臨機応変な戦い方が出来る監督 ” として評価されているところに

淡い期待を抱いた。

何より 弱者の戦い方で強豪国に一泡吹かすというスタイルは、

‶ 自分たちの戦い方 ” に固執して半ば自滅してしまった

ブラジル大会後の日本代表にとって、

最適な人選に思えた。


ハリルホジッチは就任するとすぐに、

サッカー協会内に監督専用の部屋を作るように

要求したと伝えられている。

規律を守ることをモットーとし、

試合や練習では 選手にデュエル( 球際の競り合い )の激しさを求めた。

選手を自分の管理下に置きたがることでも知られ、

時には選手個々の体脂肪率まで公にし

批判することすらあった。

選手の意見を尊重し、サブの選手にまで気遣いを欠かさなかった

前監督 ザッケローニ とは真逆のスタイルだ。

スターシステムを嫌い、

チームの顔と言えるような看板選手でも

自分の方針に合わなければ

容赦なく外した。

それが、各国のサッカー協会やクラブ上層部との衝突を生み、

解任や辞任を繰り返す原因でもあった。

しかし、逆に言えば、

それだけ自分の信念に忠実で、

忖度のない実直な性格とも言えた。


頑固で気難しいイメージのハリルだが、

一方で、その風貌や容姿から

何となく可笑しみのあるキャラクターに捉えられることもあり、

変人、奇人というイメージを持つ人も多かったように思う。

( 実際、この大一番の試合で

ハリルが着ていたチェック柄のジャケットは、

極限の緊張感の試合に挑むにおいては

少し浮いた印象だった。

そういったお茶目な部分も、

彼が変人と言われる一因ではないかと思えてしまう。)


そんなハリルホジッチ監督を迎え

ロシア・ワールドカップのアジア最終予選に臨んだ日本代表だったが、

実際のところ、我々日本のサポーターも

彼の監督としての本当の実力を

測りかねていたように思う。

前回のワールドカップ ブラジル大会以降、

本当の意味での真剣勝負と言える試合は

2015年に行われたアジアカップのみで、

それも、ハリルが就任する前の

アギーレジャパンで挑んだ大会だった。

( アギーレは2015年アジアカップをもって契約解除。

理由は 以前率いていたクラブで八百長に関わった疑いから。)

「 策士 」「 勝負師 」との触れ込みで就任したは良いが、

今までそれを実践する真剣勝負の機会を得られずにいたハリル。

ようやくその真価が見出せると思っていた矢先、

最終予選初戦で躓き、

それでもフィジカルを基盤とした

現実的でソリッドな戦い方で復調し、

予選突破まであと1勝といったところまで

勝ち進んできた。

相手は、旧来のフィジカルを前面に押し出した戦い方から、

ボールを繋ぎつつ主導権を得る、

新たな戦い方を模索する

ポステコグルー監督率いる 宿敵オーストラリア。

舞台は整った。

予選突破は当然のノルマとして、

どういった戦い方を日本チームが見せるのか。

期待と不安が入り混じった中、

私は たまたまではあるが、

埼玉スタジアムのスタンドでこの試合を観戦する幸運を得た。

それは、私にとって初めて経験する

日本代表のワールドカップ出場権がかかった試合で、

それは 五感を刺激し、感情を揺り動かす、

決して忘れられないものとなった。


Vol.2に続く

Prime Video(Amazon.co.jp)に登録
独占配信のAmazonオリジナル作品や、人気の映画やTV番組をお楽しみいただけます。 いつでも、どこでも視聴できます。今すぐ無料体験を始めましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました