あの日のハリルジャパン Vol.2

ワールドカップ ハリルジャパン オーストラリア戦 サッカー
決戦を報じる当時の各メディア

待望の先制点

〈 不思議な選手 ジャガー・浅野の覚醒 〉

試合は徐々に白熱してくる。

前半35分、左から WG乾 がカットインして落としたボールを

右SB酒井 がシュート。

これは力なく枠を外れる。

同じく前半35分、

CF大迫のポストプレーから 左SB長友 がセンタリング。

ゴール右から WG浅野 が詰めるも

ヘディングシュートはこれも枠の外。

前半38分、

オーストラリア 前半最大のチャンス。

日本陣地深く押し込むオーストラリア。

ペナルティエリア内で起点となった MFルオンゴ の落としを

中央左に流れていた WBレッキー が右足でシュート。

ブロックに行った CB吉田 の足に当たったボールは、

日本ゴールの左ポストに当たって枠を逸れた。

どちらに点が入ってもおかしくない展開。

しかし、ここで試合が動く。

前半41分、押し込む日本。

右サイドのスローインから左に展開。

MF井手口 からサイドに張った SB長友 へ。

右足で持った SB長友 は中に切れ込み

対面する WBレッキー を振り切って右足でクロス。

ゴール正面でディフェンスラインの網をすり抜け WG浅野 がフリーとなり、

左足で合わせたボールはオーストラリアゴールに吸い込まれた。

日本 待望の先制点!( 1-0 )

このシーン、

疲れの見えたオーストラリアはラインが下がり過ぎていた上、

全員がボールウォッチャーになっていた。

WG浅野 のマークに付いていたのは、

押し込まれ ディフェンスラインに吸収されていた 左WB のスミス。

ボールの出し手の SB長友 に目を向けた一瞬の隙に

FW浅野 が上手くラインブレイクし、

完全にフリーになったところを

落ち着いてボレーで決めたファインゴールだった。


普段 決定力が無いと揶揄されることの多い浅野だが、

先のカタールワールドカップのドイツ戦と言い、

意外にも大事な試合では存在感を発揮することが多い。

‶ 持っている ” という事なのだろうが、

何とも不思議な選手だ。

久々のスタメン抜擢に奮起し、

最高の結果で応えてみせた。


得点後すぐの、前半43分には、

右サイドで CF大迫 が起点となり

中に入った WG浅野 が左足でシュート放つ。

続いて前半44分、右SB酒井 のクロスに CF大迫 が合わせたが、

これは大きく枠を外れた。

オーストラリアは疲れからか足が止まり、

日本の攻撃陣に全く付いていけていない印象。

ここで前半終了のホイッスル。

日本1点リードのまま前半を折り返した。


前半、日本は終始コンパクトかつコレクティブな戦い方で、

オーストラリア攻撃陣に隙を与えなかった。

本田、香川 等のビッグネームを外し、

デュエル( 球際 )に強く、

機動力があって 前線からプレッシングをかけられる選手を起用。

リアリズムに徹底した戦い方をした。

そこには 本来の日本のパスサッカーに見られる

ファンタジーの要素は皆無だったが、

手数の少ない分 その割り切ったような思い切りの良さが、

見ていて新鮮で 却って気持ち良かった。


スタンドで観ていた私も、

前半終了と共に 緊張から解放された気分になり

一息つくため一旦席を立つ。

まだ予断を許さない展開に、少しの不安と、

あと45分で決まるという期待と興奮が入り混じった

妙に高揚した気分だった。

小用が済むと、

この後すぐに始まる後半に向けて気持ちを整理し、

我々の声援で日本を勝たせるのだという

サポーターとしての使命感を抱きながら、

再び席に着いた。

いよいよ運命の後半戦だ!


Vol.3に続く

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