2023 6月29日
‶ 新生クソアイドル ” ことBiSH が、
2023年6月29日の東京ドームでのライブをもって
解散する。
‶ 新生クソアイドル ” は
彼女たちのデビュー当時のキャッチフレーズだ。
地下アイドルからスタートし、
メジャーデビュー後は
‶ 楽器を持たないパンクバンド ” と新たに銘打ち、
積極的なライブ活動と、
時に過激なプロモーション戦略、
硬派かつキャッチーなロックサウンドで、
アイドル界隈は元より
コアなロックファン層からも支持を集めた。
2021年末にはNHK紅白歌合戦にも出場。
解散コンサートを東京ドームで行うという偉業は、
まさに地下出身アイドルとして
これ以上ないサクセスストーリーを成し遂げたと言えるだろう。
彼女たちの最大の魅力と言えば、
等身大の親しみやすいキャラクターと、
そのひたむきなパフォーマンスにあるだろう。
坂道グループのような、クラス一の美少女ではなく、
むしろ、学級のヒエラルキーで言えば
2つか3つ下の普通の女の子たちが
懸命にアイドル活動に邁進する姿が、
「 清掃員 」( BiSHの熱心なファンの呼称 )たちの心を打ち、
多くのファンを獲得するに至ったと、
個人的には分析している。
特別歌が上手い6人ではないし、
( もちろん アイナ・ジ・エンドという 傑出した個性はいるが・・・)
一糸乱れぬダンスが売りという訳ではないが、
観ている者を魅了する不思議な魅力が
BiSH には詰まっていた。
( 抜群にキャッチーで、
ロック好きのうるさ方をも唸らせるマニアックさを併せ持った
松隈サウンドが、
それを強力に後押ししていることも
忘れてはならない。)
さらに 彼女たちの存在を身近に感じさせたのが、
メンバーが自身で書いた
等身大の歌詞の数々だ。
リンリン作詞の 『 Beautifulさ 』 は、
すでに アイドル曲の枠を超えた名曲のスタンダードになりつつあるし、
モモコグミカンパニーが織り成す言葉は、
時に社会や学校から孤立し
疎外された個人をフォーカスした暖かな視線に満ちており、
聴くものを勇気づける。
他のメンバーの書く歌詞も、
どれもそれぞれのキャラクターが垣間見えるもので、
ただ、運営側に歌わせられているだけではない、
彼女たち自身のアイデンティティをファンに伝える
一つの要素となっていた。
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平気で放送自粛用語を叫び、
自分の性癖までも自ら発信しつつ、
いざ パフォーマンスを始めれば、
観る者を魅了して止まず
自然と涙が湧き上がってくる。
そのようなアイドルが今までにいただろうか?
彼女たちこそが、唯一無二の
‶ 新生クソアイドル ”
BiSH なのだ。
‶ 清掃員 ( 仮 ) ” としての自分
筆者自身にとってはどういった存在だったのか?
正直、胸を張って「 私は清掃員だ! 」と
言い張れるほどの自信はない。
数年前に BiSH という存在に出会ってから、
ライブに行ける機会は無数にあったはずだが、
ついに解散するまで 一度も参戦することはなかった。
もちろん コロナ禍の影響もあったし、
自分の年齢的に アイドルのライブに参加するということへの
引け目もあったことは否定出来ない。
何度かチケットを取ろうと試みたこともあったが
結局参加するには及ばず、
最後までファンクラブにも入らず仕舞いだった。
ライブの DVD や Blu-ray などは ほぼほぼ持っているし、
YouTube や Twitter などで常に彼女たちの動向を気にかけてはいたが、
ツアーグッズやコラボ商品を可能な限り買い集めたりという
いわゆる ‶ 推し活 ” とは無縁だった。
推しのメンバーのミュージカルを観に行ったり、
もう一人の推しの 小説やエッセイを購入したりはしたが、
彼女たちのラジオを毎週欠かさず聴いたり、
インタビュー記事が載った本をコンプリートするほどの熱意は無かった。
今回の東京ドームでの解散ライブこそは、
彼女たちのパフォーマンスを観ることが出来る
私自身 最初で最後のチャンスと一念発起し、
何度かチケット争奪戦に参加はしてみたものの
結局チケットは手に入らず、
生で彼女たちが歌い 踊っている姿を観る機会は
永遠に失われてしまった。
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だから、私は自らを
‶ 清掃員( 仮 )” と名乗ることにする。
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そんな ‶ 清掃員 ( 仮 )” の私ですら、
BiSH に励まされることは多かった。
ここ何年間か ほぼ毎日と言っていいほど BiSH の楽曲を聴き続けてきたし、
仕事が終わり帰宅してからは、
YouTube や Twitter に最新のものは上がっていないか
チェックするのが日課だった。
休みの前の晩には、ビールを飲みながら
彼女たちのライブ映像を観るのが
何よりリラックス出来る瞬間だった。
元々、スマパンや イエローモンキー直撃世代だったこともあり、
それに関連付けた記事を書き
このブログ内に上げたりもした。
何より 四十路を過ぎ、
人生の折り返し地点が見えてきた私にとって、
BiSH は 初めてハマったアイドルであり、
こんなにも長期に渡り その動向を追いかけ、
毎日を楽しませてくれた存在を
今までに持ったことが無かった。
彼女たちの代表曲の一節を引用するなら、
まさにこういうことだ。
「 きっと巡り会った 僕らは奇跡なんだ。」
Bye – Bye しよう
正直 今現在、
彼女たちが解散した後の生活が
私自身想像出来ない。
それほど ここ数年 彼女たちの動向を欠かさずチェックしていたし、
それが毎日生活していく上での
小さくない楽しみの一つだった。
解散後のメンバー個人個人の活動については、
当面の間 追っていくことにはなるだろう。
音楽活動を続けるメンバー、
執筆業界に進むメンバー、
ドラマやバラエティー、
各々 進む道は違うだろうし、もちろん応援はするが、
何年か後にどうなっているかは分からない。
今後 BiSH のようなアイドルが
出て来るとは思えないし、
それにハマるとは考えにくい。
なぜなら、彼女たちは唯一無二であり、
私にとっては アイドルを超えたアイドルだったからだ。
解散後の喪失感は 想像するのが難しい。
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‶ 清掃員( 仮 )” の私が言うのもおこがましいが、
それでも 私同様、BiSH の解散に大きな喪失感を覚えるであろう
( 仮 )ではない ‶ 本物の清掃員 ” の方たちに
是非とも伝えたい。
私たちが愛した
唯一無二の ‶ 新生クソアイドル ” の残した軌跡は
色褪せることはないし、
少なくとも、‶ BiSH ” というアイドルを超えたアイドルが
確かに存在したという事実は
消えることはないと。
そして最後に こんな文章を
清掃員の皆さんと共有したい。
繋がりは この空だけになってしまっても、
巡り会ったことが奇跡なんだ。
Bye – Bye しよう。
絆を解くラストステージの後に、
泣きじゃくった日々を超えて見えた光だけ
今は信じていよう。
どんなとげとげの道も
僕らは乗り越えて行くんだし。
星が瞬く夜にいつでも
See you.
そして、気落ちしている清掃員さんへ!
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その手を離さないよう
これからも共に時を縮めよう。
孤独が運命なんて言葉 虚しいな
そう思わない?
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