ゴールデンコンビ
中村俊輔 と 小野伸二。
それぞれ各年代別の代表に選ばれ、
その中でも主力級の活躍をしてきた2人だが、
意外にも同じチームで本格的に共闘するのは
シドニー五輪のアジア予選からであった。
俊輔は1997年のワールドユースでベスト8、
そして小野は同じく1999年ワールドユースで、
全てのカテゴリーの日本代表で
初の国際大会での決勝進出という 快挙を果たしていた。( 準優勝 )
アトランタ五輪で28年ぶりの本選出場、
フランスW杯では悲願の初出場を果たし、
まさに機運は高まっていた。
99年のワールドユースのメンバーは、
黄金世代( ゴールデンエイジ )と呼ばれ、
小野以外にも、小笠原満男、本山雅志、稲本潤一、高原直泰といった
優れたタレントを擁し、
この黄金世代と1学年上の中村俊輔、
更に2つ上の中田英寿が加わったシドニー五輪組が
どんな化学反応を示すのか。
世間的にも大変注目されていた時期だ。
当時、海外組と言っても中田しかいない時代。
すでにフル代表でも 主軸として確固たる地位を築いていた中田は、
イタリアでのチーム事情を優先し、
特別待遇で1次予選の参加は【 免除 】されていた。
そこで実現したのが、俊輔、小野のゴールデンコンビだ。
シドニーオリンピックに向けたチーム立ち上げのお披露目のとなった試合、
アルゼンチン戦 で共に戦ったことはあったが、
実戦で本格的に共演することの無かった2人の天才。
当時 小野の所属チーム浦和でのポジションは
今の2.5列目ではなく、俊輔と同じトップ下だった。
天才肌の2人を同時に起用して
本当にチームが上手く機能するのか?
各世代で頭一つ抜けた存在感を示してきた2人だけに、
変なプライドが邪魔をして、
お互いが独りよがりなプレイに走ってもおかしくはなかった。
しかし、当然と言うべきか、
お互いにクリエイティブかつサッカーIQの高い2人。
共にプレイすることでお互いの良いところを引き出し、
長年同じチームでプレイしてきたかのような、
見事な連携を見せ始める。
フル代表と兼任でオリンピック代表を率いていたトルシエも、
2人を2トップ下の攻撃的な位置で並べ、
なるべくゴールに近い位置で絡ませた。
格下相手の1次予選とは言えその破壊力は凄まじく、
チームは8戦全勝( 52得点、1失点 )で1次予選を通過。
2人はその攻撃の中核を担い、
その姿は、( 再び古い漫画の例えで申し訳ないが、)
まるで『 キャプテン翼 』の
翼くんと岬くんのゴールデンコンビを彷彿させた。
後のインタビューで俊輔、小野 共に
今までで最もイメージの共有がし易かったチームメイトとして、
お互いの名前を挙げており、
テレビの画面越しに見ても2人の息はピッタリで、
相手の良いところを引き出し合って相乗効果を生み出していた。
( 実際、それほどたくさん点を取るイメージの無い2人だが、
この時期 お互いのアシストでよく点を取っていた。)
まさに ‶ リアル・ゴールデンコンビ ” だった。
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