『 Stray 』 猫が辿る世界 #3

Stray 猫 ゲーム ゲーム
猫が世界を変える 『 Stray 』

英雄誕生譚

ポストアポカリプスの代表格と言えば

映画『 マッドマックス 』シリーズが挙げられる。

ジョージ・ミラー監督の出世作にして代表作で、

主演のメル・ギブソンを世界的スターに押し上げた作品だ。

( もう一つの代表作『 ベイブ 』は、

奇しくも同じ ‶ 動物 ” が主人公の作品だ。)

荒廃した近未来を、

主人公マックスが愛車のV8インターセプターを駆って

無法者たちをなぎ倒しながら、

時に復讐を果たし、時に困っている善良な人々を救っていく物語だ。

その斬新な世界観は 日本の漫画『 北斗の拳 』を初め、

映画『 ウォーター・ワールド 』、

ゲームでは前出の『 Fall Out 』シリーズなどにも影響を与えている。

ジョージ・ミラー監督は『 マッドマックス2 』を撮るに際し、

世界中の様々な神話や英雄譚を研究したと言われている。

( 特にアメリカの神話学者 ジョゼフ・キャンベルが書いた

『 千の顔をもつ英雄』に影響を受けたとされる。)


『 マッドマックス2 』以降最新作まで

主人公のマックスは、

( 最初の動機は違っていたとしても、)他者のために行動し、

そのコミュニティ、ひいては世界の勢力図に変革をもたらす

唯一の存在だ。

まさに ‶ 世紀末救世主 ” であり、

英雄誕生譚の典型とも言える。

これは『 Stray 』にも共通したテーマだ。

生まれた場所を出て 見慣れない場所に放り込まれ、

最初は苦労するが 色々な人物( ロボット )と出会い成長して、

世界( コミュニティ )を救い

また同じ場所( 元居た場所、境遇 )へと帰還する。

そして最後は一人( 一匹 )で去っていく。

主人公はそのコミュニティにおいては異質な存在で、

であるが故に社会に変革をもたらす存在となりえる。

ロボットしかいない世界での猫とは・・・

これは異質な存在以外の何物でもないだろう。

だが時に、異質なものこそが

革命を起こせるのだ。

B-12という存在

最期に ‶ みんな大好き ” B-12についても触れておきたい。

彼は作中 主人公と長い間行動を共にし、

様々なアドバイスや手助けをしてくれるバディであるのだが、

人間であった時代から本編最後のシーンまでの

数奇な人生に考えを巡らせてみると、

非常に哲学的な存在とも言える。

AIという存在になってまでも

人間に代わりロボットの住むこととなったこの世界を救おうと、

自分の人生を犠牲にしてまで尽力する B-12。

人工知能の発達や大容量メモリーの小型化、

iPS細胞やロボット義手、義足の実用化など、

存在の ‶ 成り代わり ” すら現実味を帯びてきた現代において、

人間の記憶を持ったままドローンとなった彼の存在は、

〈 人間の存在とは何か?〉という問いを

我々にリアルに投げかけてくる。

総評

シンプルにまとめられたストーリーとボリュームで、

短いながら濃厚なプレイ時間を提供する『 Stray 』。

単純で ‶ ベタな ” ストーリーだからこそ

ダイレクトに我々の心に訴えかけてくるものがあるし、

英雄誕生譚として馴染みのあるストーリー展開は、

主人公の猫に より親近感を覚えさせる。

( 思えば、日本人なら誰もが知る 桃太郎 などの民話も同じプロットだ。)

大作揃いのこの2022年において、

一本のインディゲーに収まらない

感動とインパクトを残してくれた 『 Stray 』。

開発元の Blue Twelve Studio には、

今回の成功に留まらず

更なるクオリティの作品を期待したいし、

他のインディゲームに携わる開発チームには、

『 Stray 』の成功を参考にして、

大手には出来ない新しい視点と発想の作品を

コンスタントに世に送り出して欲しいと

切に願うところだ。

〈 終わり 〉

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世紀末ものの金字塔

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