あの日のハリルジャパン Vol.2

ワールドカップ ハリルジャパン オーストラリア戦 サッカー
決戦を報じる当時の各メディア

2017 8月31日(木) 2018FIFAワールドカップロシア  アジア最終予選日本 × オーストラリア  

試合開始まで

〈 突然の誘い 〉

2017年8月中旬。

古い友人から、連絡が入った。

31日に埼玉スタジアムで行われる、

ロシアワールドカップのアジア最終予選、

日本 × オーストラリア 戦のチケットがあるから

一緒に行かないかとのお誘い。

以前、埼玉に住んでいたことから、

浦和レッズの試合を観に 埼玉スタジアムにはよく通っていたが、

これまで ワールドカップ予選を観たのは

一度だけだった。

しかも、勝てば予選突破の大一番。

断る理由はない。

迎えた当日、件の友人と浦和の駅で待ち合わせて、

臨時のシャトルバスに乗り込み、

意気揚々とスタジアムへ向かう。

車内では ホームで予選通過の瞬間が見られる期待感からか、

あるいは 難敵との一戦という事もあってか、

騒ぐような者こそいなかったが、

期待と緊張の入り混じったサポーターの熱気が

ひしひしと感じられた。

バスがスタジアムに着くと、

すでに大混雑の乗降場を潜り抜け

入場口へと向かう。

中に入り スタンドに出ると、

客席はすでに大勢のサポーターで埋め尽くされていた。

我々の席は2階のバックスタンド ややゴール寄り。

( テレビ中継で言うと画面左、手前側 )

ビールとつまみを買って、準備万端で挑む大一番。

試合前のウォーミングアップが終わり、

ド派手な選手紹介がスクリーンに映し出されると、

すでに満員に埋め尽くされたサポーターの熱量も最高潮に達した。

間もなく選手が入場してきて、

両国 国歌の斉唱。

チームの並びでの写真撮影を終えて、

22人の選手たちは一斉にピッチに散って行く。

両チームキャプテンとレフェリーによるコイントスが行われ、

キャプテン同士が握手を交わした後、

自陣の持ち場に戻っていった。

ついに、‶ 負けられない戦い ” が始まるのだ。


スタンドで観る我々も固唾を呑んで

試合開始の笛を待つ。

右手に持つビールのコップ表面の結露が

額の汗とともに 緊張感を煽る。

もう後戻りは出来ない。

いよいよヒリヒリするような戦いの始まりだ。

つかの間の静寂の後、

いざ 決戦のキックオフ!


前半キックオフ 

日本代表

GK 1 川島

DF 19 酒井宏樹

   22 吉田

   3  昌子

   5  長友

MF 17 長谷部

   16 山口蛍

   2 井手口

FW 18 浅野 

   14 乾

   15 大迫

オーストラリア代表

GK 1 ライアン

DF  5 ミリガン

   20 セインズバリー

   6 スピラノビッチ

MF  21 ルオンゴ

   22 アーバイン

   3 スミス

   7 レッキー

   23 ロギッチ

   14 トロイージ

FW  10 クルーズ

〈 フォーメーション 〉

日本のフォーメーションは 4-3-3。

4枚のディフェンスラインの前のアンカーに

キャプテンの 長谷部。

インサイドハーフに 山口蛍 と

21歳の新鋭 井手口。

フォワードは右のウィング( WG ) に浅野、左にドリブラーの 乾。

センターフォワード ( CF ) にエースの 大迫 の布陣。

チームの顔とも言うべき

本田、香川、岡崎 はベンチスタート。

この辺りもハリルホジッチらしい。


対するオーストラリアのフォーメーションは3-4-2-1。

3バックのセンターに セインズバリー。

中盤に人を多くしたボールを繋ぎやすい配置は、

ポステコグルー監督が志向するパスサッカーの現れか。

ワントップにはチーム内得点王の FWユリッチ ではなく

10番の FWクルーズ を起用。

戦術的には、左右ワイドに張り出したウィングバック ( WB ) がカギを握る。

特に右サイドの WBレッキー は、

ブンデスリーガで活躍するレフティで、

多くのチャンスを作り出すキーマン。

ジャパンキラーと呼ばれる

FWケーヒル はベンチから出番を窺う。


〈 19:35 前半キックオフ 〉

日本は開始早々 前線からオーストラリアに猛プレスを仕掛け、

2本続けてのコーナーキックを得る。

この日のキッカーは スタメン最年少のMF井手口。

2本目のコーナーキックに、

右サイドバック (SB ) 酒井 が頭で合わせるも枠の外。

日本にとっては幸先の良いスタートだ。

序盤 積極的な日本は、

コンパクトな守備とショートカウンターでペースを掴んだ。

MF井手口 が前線まで上がってプレスを仕掛け、

MF山口 が敵3バックの裏のスペースに走り込む。

アンカーの MF長谷部 も鋭い読みで存在感を示す。

若い2人のインサイドハーフのプレスをすり抜け出てくるボールを、

中盤の底で確実に摘み取っていく。

後に本場ドイツでリベロにポジションを下げ、

‶ カイザー ” と称えられる片鱗が

この当時から感じられた。

( カイザー=皇帝 の意。リベロの祖、ベッケンバウアーの愛称として知られる )

前半10分には その MF長谷部 から 右SB酒井 を経由して

WG浅野 に展開。

センタリングは一旦ブロックされるも、

こぼれ球を自ら拾った WG浅野 の外側を

右SB酒井 がオーバーラップしてセンタリング。

得点には繋がらなかったが、

日本は厚みのある攻撃を見せる。

対するオーストラリアは

MFルオンゴ、MFトロイージ がゲームを組み立て、

サイドに張った両ウィングバック、

左WBスミス、右WBレッキー のセンタリングから

チャンスを作ろうと試みる。

前半13分には、右サイドから FWクルーズ のセンタリングが左に流れたところ、

WBスミス が左足でクロス。

ディフェンスに当たって浮いたボールを

GK川島 がファンブルするが

事なきを得る。


前半15分を過ぎ、徐々に試合が落ち着いてくる中、

CF大迫 の安定したポストプレーが光る。

普段からドイツで屈強なディフェンスを相手にプレーしているだけあって、

大柄なオーストラリアDFを背にしても

慌てることが無い。

前半23分にはそんな CF大迫 が相手ディフェンスを交わして

右足でシュート。

これはキーパーの正面を突くが、

体のキレの良さを感じさせるものだった。

前半の中盤は両チーム 一進一退の攻防となった。

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