FIFAワールドカップ 思い出のBest Bout カタール大会③

カタール・ワールドカップ 宣材写真 サッカー サッカー
数々の名勝負を生んできたFIFAワールドカップ

【12】死闘 ついに決着!

120分を超える激闘の後、

両チームのキャプテンによって

コイントスが行われた。

権利を得たフランスのキャプテン ロリスは

先行を選択。

最後まで目の離せない延長戦の余韻冷めやらぬ中、

フランス 1人目のキッカーは エムバペ。

アルゼンチンサポーターが陣取るゴール裏からは

大ブーイング。

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この試合 すでに2度のPKを決めているエムバペだが、

そのどちらもゴール左下のコースに

強いボールを蹴り込んでいた。

3度目の今回、コースを変えてくるか、

三度みたび 同じコースに蹴ってくるかが注目されたが、

結果は後者。

2本目では逆を突かれていた GKエミリアーノ・マルティネスも

今回は一早く反応。

左腕で懸命に枠外に弾き出そうと試みるが、

強く放たれたシュートの勢いが勝って、

ボールはネットに突き刺さった。(1-0)

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恐るべきは 若干23歳のエース エムバペ。

コースを読まれながらも 迷いのない強い弾道で、

名手エミリアーノ・マルティネスが守るゴールを

3度とも同じコースで破って見せた。

ワールドカップの決勝という大舞台。

同年代のどのストライカーと比べても

桁けた外れのメンタルと技術。

前回 ワールドカップでの優勝を19歳で経験し、

その後も自身のキャリアを確実にステップアップしてきた自信が、

この大舞台でも物おじしない強靭なメンタルを

作り上げているのだろう。


続くアルゼンチンのキッカーは メッシ。

プレッシャーのかかる中、助走を開始すると

ゆっくりとしたステップからキーパーの重心を見切り、

逆を突いて ゴール左に冷静に流し込んだ。(1-1)

先ほどのエムバペとは対称的な、

らしさ溢れるテクニカルなキック。

両エースが確実に決め、

更にスタジアムの緊張感は高まっていく。


フランスの二人目は コマン。

後半途中から入って試合の流れを変え、

劇的な同点劇への起爆剤となった

この日のベストプレイヤーの一人だ。

今大会は出場6試合中5試合が 後半からの途中出場。

攻撃のジョーカーとしてチームを活性化させた。

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コマンがキックモーションに入ろうとする中、

ゴールライン上に立った エミリアーノ・マルティネスは

左右に小刻みなステップを踏んで

相手を揺さぶろうと画策。

速い助走から勢いよく放たれたシュートは、

先ほど エムバペが決めたのとほぼ同じコース。

しかし 若干コースが甘く、

キッカーとのタイミングを完璧に合わせたマルティネスが

これを顔面でブロック。(1-1)

歓喜に湧く アルゼンチン・サポーターたち。

止めた エミリアーノ・マルティネスも渾身のガッツポーズ。

こういった大舞台では、

チームのエースや試合で活躍した選手がPKを外すことは

往々にしてあることだが、

今回はコマンがその役を引き当ててしまった。


続いて アルゼンチンの2人目は、

延長後半終了間際にPK戦要員として投入されたディバラ。

軽快なステップから ほぼ正面にグラウンダーのシュートを放つ。

何という強心臓!

先に反応していた ロリスはこれに触れることが出来ず、

2巡目にして アルゼンチンがリードを奪う。(1-2)

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今大会メッシの活躍の陰に隠れ、

ほとんど出場機会のなかった ディバラ。

イタリアの強豪ユベントスで長く活躍し、

2019-20シーズンではセリエAの年間最優秀選手も獲得。

本来であれば、代表で一時代を築いていてもおかしくない

ポテンシャルを持った選手。

惜しむらくは天才メッシと同じポジションだったことだが、

そんな不遇な境遇をものともせず、

短時間で与えられた役割をきっちりこなして見せた。


フランスの3人目は チュアメニ。

若干22歳で挑んだ今大会。

中盤の軸として7試合に先発出場。

準々決勝のイングランド戦では貴重な先制点を挙げて

チームの勝利に貢献してきた。

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ボールをセットし助走に入るチュアメニ。

相変わらずの大ブーイングで、

何としてでもゴールを阻止しようとする

アルゼンチン・サポーター。

右足で放たれたボールは、

左ポストに触れながらも枠の外へ逸れて行った。(1-2)

再び歓喜に湧くスタンド。

落胆するフランス陣営。

ボールに触れることはなかったが

しっかりと反応していた エミリアーノ・マルティネスは

おどけた仕草で観客を煽あおる。

場内は異様なムードだ。


続くアルゼンチンのキッカーは、

途中からアンカーのポジションに入り

試合を落ち着かせる役割を担った パレデス。

しっかりと踏み込まれたゴール左への強い弾道のシュートに、

ロリスが右腕で触れるもボールの勢いは衰えず

そのままゴールの中へ。(1-3)

アルゼンチンが2点のリードを奪う。


ついに後が無くなったフランス。

4人目のキッカーは コロ・ムアニ。

途中出場から前線の起点となっていたコロ・ムアニだが、

試合終了間際の決定機を外すなど、

決定力不足も目立った。

しかし そんな心配をものともせず、

ゴールほぼ正面へ右足での強烈なシュート。

先に身体を倒していた エミリアーノ・マルティネスはこれに触れず、

ボールはゴールへ突き刺さった。(2-3)

フランス 首の皮一枚で生き残り、

次のアルゼンチンの結果を見守る。


アルゼンチン4人目のキッカーは

これまた途中出場の モンティエル。

今大会は モリーナの控えに回ることが多かったが、

この試合 延長戦前半から出場し、

攻守においてチームに貢献。

PK戦 最後のキッカーとなるべく

ペナルティ・スポットに向かう。

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緊張の瞬間。

少し長めの助走からゴール左隅を狙ったシュートに対し、

逆を突かれた ロリスは全く反応出来ず、

ボールは無情にもネットに吸い込まれていった。(2-4)

これでフランスの残りの1人が決めても

アルゼンチンには1点届かず

アルゼンチンの勝利が確定。

この瞬間、アルゼンチンが

1986年のメキシコ大会以来、

36年ぶり3度目の世界王者に輝いた。

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延長後半の終了間際にエリア内でハンドを取られ、

痛恨のPKを与えてしまった モンティエル。

この日のプレータイムは延長前後半30分と

アディショナルタイムの数分のみ。

交代出場後の1時間ほどの間に、

まさに天国と地獄の気分を味わうこととなった。

しかし、この決勝のPK戦という大舞台で、

見事にその大役を果たした。

【13】メッシのための大会

歓喜に湧く アルゼンチン・サポーター。

チームメイトも 殊勲のモンティエルに駆け寄って

喜びを爆発させる。

歓喜の輪の中心にいるのは、

キャプテンとして、ストライカーとして、

時にはピッチ上の監督としてチームを牽引した

チームの大黒柱 メッシ。

思えば代表でのビッグタイトルに恵まれず、

アルゼンチン国民から キャプテンとしてのポテンシャルに

常に懐疑的な眼を向けられていたメッシ。

キャリアの総決算として迎えた今大会。

幼いころからメッシの活躍を見て育った世代が台頭し、

彼を良くも悪くも特別扱いすることで、

チームに ‶メッシのために!″という結束力が生まれた。

また、いかにも南米らしい激しいチームのスタイルが、

メッシを中心に据えるスターシステムと合致し、

ヨーロッパのフィジカルと規律を重視したフランスを破ったという事実は、

短期決戦であるワールドカップを勝ち抜く手段としての

一つのヒント足りえているのかもしれない。

36年前のマラドーナ率いるアルゼンチンも、

マラドーナの能力を最大限に活かすために集められたチームだったことを考えると、

今回の優勝は、まさにその時の再現と言えるだろう。

2度目の神が降臨した瞬間だ。


一方、負けてしまったフランスも、

選手全員が高いクオリティを持った

素晴らしいチームだった。

長期政権となったデシャン監督の下、

安定した勝ち上がりで決勝まで進んできた。

中でもエースに成長し、

この試合でもその価値を十二分に証明したエムバペを中心に、

少なくとも ここ十年くらいは

世界のトップに君臨するであろう

そのポテンシャルを示した。

優秀な若手が次々と台頭してくる中、

4年後も楽しみなチームであることは間違いない。


【14】ついに神になったメッシ

まさに ‶メッシのための大会″となった

このカタール大会。

本当の生ける伝説となったメッシ。

アルゼンチンは今後、脱メッシの路線を取るのか、

はたまた このままメッシを中心としたチームとして更に精度を上げ、

4年後の北中米ワールドカップを目指すのかは、

神のみぞ知るところだ。

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一つだけ確かなことがあるとすれば、

長年 世界一を夢見てきた永遠のサッカー少年が、

この夜 ついにその念願を果たし、

神の子と呼ばれた偉大なる先輩を

超えるまでの存在になったということだ。

一人のサッカー選手が伝説となり、

それを世界中の人たちが目撃した。

多くのサッカーファンにとって

強く記憶に残る大会になったことは

間違いないだろう。

~ 終わり ~

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